こんな経験は無いだろうか?
 自分より技術レベルが上の相手と練習すると、そもそもサーブレシーブが出来ないので卓球にならない。
 ショートなのかロングなのか、フォアなのかバックなのか、上なのか下なのか横なのかそもそも回転などかかっていないのか、さっぱり分からずそっとラケットを出すとあらぬ方向へ球が飛んでいく。
 そのうちいたたまれない気分になってきて、誰か相手を変わってくれないかキョロキョロ辺りを見回す。
 
 そんな日は家に帰ってからレシーブ技術の練習だ。
 とはならず用具の研究をいそいそと始める迷宮探索者達。
 そうした後ろ向きチャレンジャーの目の前にはいくつかの扉が姿を現すらしい。

 第1の扉を開けると現れるのが、「ツッツキ道」

 どんなサーブでもツッツキで返す。
 そう決心した勇者が探すのは上でも下でもツッツキができるラバー。
 その夢はWRMの極薄ラバーに委ねられる。
 ボンバード極薄や太陽極薄に始まり、最新のアポロ5超極薄まで。
 効果はある。
 ショートサーブなら。
 ロングサーブを打たれると、迷宮の入り口に戻される。

 
 

 第2の扉を開けると現れるのが、「トッコウ道」

 どんなサーブが来てもスマッシュカウンターで迎撃する。
 その迫力に相手も恐れおののくはずだ。
 そこで手に取るラバーは、球離れ重視の表ソフトか硬めのスピード系テンションか。
 ラケットも最速アウターカーボンでどうだろう。
 ショートサーブはフリックで2球目攻撃だ。
 しかしこの戦法の不安定な事よ。
 早い打球点を掴まえないと、まともに入らない。
 これが出来るフィジカルがあるなら用具に頼らなくても良いんじゃないか?
 入り口に戻る。
 
 

 第3の扉を開けると現れるのが、「ヘンカ道」

 回転が分からないなら、回転を無効化するラバーにすれば良いのだ。
 とにかく当てさえすれば返球できる。
 この道を進むには粒高ラバーかアンチラバーか。
 もう少し攻撃的に変化系表という選択肢もある。
 回転の反転、ナックル、揺れる球。
 ビタ止めストップ、鉄壁ブロック、ナックルドライブ、中央仁王立ちノイバウアーポジション。
 魅惑的なフレーズに心が騒ぐ。
 盲点なのは戦術を組み立てる頭脳が求められること。
 出来ることが限られるからこそ、組み立てが大事になる。
 練習や実戦を数多くこなした経験の積み重ねと、状況に応じた冷静な判断が鍵となる。
 それって普通に強い選手では。
 

 第4の扉を開けると現れるのが、「イブシギン道」
 
 最新のテンションラバーは高性能故に反応が敏感すぎる。
 それなら何世代か前のレジェンドラバーを使った方が自分の力で打てるし、なんだかこだわりがありそうでちょっぴり格好いい気がする。
 有名どころではマークVやスレイバー。同じキョウヒョウでもキョウヒョウ2とか、あるいはテンキョクにするとか。
 若者のフェイク満載グニャグニャサーブをマークVで右に左に軽々と捌き、最新のテンションラバーとは異なる弾道で返球する。そんないぶし銀プレイに思いを馳せよう。
 ってちょっと待った。
 そもそもそのテクニックが無いから用具に頼ろうとしているのに・・
 入り口に戻る。


 現在第2の扉と第3の扉を同時に開けるべく、2本のラケットにラバーを貼る準備をしているところだ。
 結末が分かっていても試さずにはいられない。
 なのでちっとも上達しない。