先週くらいから湖南料理湖南料理と耳元で呟かれても、あたしそもそも湖南料理って知らないんですけど。
 「本場の湖南料理を食べようよ」
 なんて、いくら言われても、知らないものは知らない。
 そんな言葉に騙されて、ホイホイついていく女の子もいるのかなあ。
 あたしは違うよ、とは言えない。情けないけど。
 だって美味しい料理とお酒を飲んだら、あたしはきっと楽しい気分になると思うし、そうなったら、ね。

 

 「辛いです」
 「これは辛い」
 「辛いのは好きだけど苦手だ」

 立野さんご推薦の「本格湖南料理 李厨」での会話は8割方こんな感じ。
 確かに美味しい。
 美味しいけど辛い。
 辛くて辛くて涙が止まらない。
 泣きながらビールを口の中に注ぎ、一瞬だけ痛みが和らぐが、またすぐぶり返す。
 卓球の話とか、色々したいがこれは無理。
 
 このお店は高田馬場さかえ通りにある一見普通の中華料理屋だが、店員も客もほぼ中国人で、日本語がほぼ聞かれない。
 1人では決して入らないであろう、そんな店だ。
 ああ、言っておくけど、料理は美味しい。
 辛いのが好きならオススメである。

 ビールでは無く水を飲んだら辛さも和らぎ、ようやく普通の会話が出来るようになったので、またまた卓球TALKに花を咲かせた。
 いくら話しても尽きることは無い。
 残念なのは、ほとんど覚えていないことだが。
 
 散々卓球話をしているうちに、またぞろ卓球をしたくなってきた。
 この卓球をしたいという欲望は、はたしてどこから来ているのだろうか。
 永遠のテーマであるなあ。
 
 立野さんと別れを告げて、電車に乗り込むのであった。

 終わり