私は40代半ばから卓球を始めた。
 軽い気持ちで始めたが、卓球は想像していたより遥かに難しかった。
 準備運動代わりのフォア打ちが出来るようになるまで何年もかかったし、ドライブの真似事も同様だ。
 バック打ちは何度も上達したと思ったが全てまやかしで、ここ半年くらいで何とか打てるようになった。
 私と同じような大人卓球初心者は、だいたい同じようなことを考えている。

 「頭では分かっているんだけどなあ」
 「動画で見たようには打てない」
 「子供は覚えるのが早くて良いなあ」

 何故このようなことになるのだろうか。
 子供達と比較すると答えは簡単で、反復練習の圧倒的な不足だ。
 ほとんどの子供は部活やクラブで反復練習を強制される。
 イヤだと思ってもコーチや先輩の目が光っているのでやめられない。 
 理屈はよく分からないままやっているので効率は悪いかもしれないが、ほぼ毎日何時間も繰り返して練習していればイヤでも身につく。
 その点大人卓球初心者は卓球に対する情熱こそ素晴らしいが、楽しみの範囲を超えてまで自分を追い込んだりはしない。 
 YouTubeなどの動画を見て分かったような気になり、練習でちょろっと試してやっぱり難しいや、と投げ出してしまう。
 大人だから身につかないのでは無い。
 必要な反復練習を避けて、効率よく覚えようとか言っているからダメなのだ。
 
 すっかり前置きが長くなったが、ここで「大人向け卓球部」の出番だ。
 ここはお金を払えば誰でも入会、いや入部することが出来る。
 普通の卓球教室と違って自分の好きな練習をリクエストしたり、疲れたから休むといった甘えは許されない。
 入部して半年はひたすら素振りだ。
 本来ならラケットを握ることすら許されないが、そこはさすがに大人向けなのだ。
 全員揃って声を出しながら何百何千と素振りを繰り返す。
 喉が潰れようが足がつろうがやめることは出来ない。
 なぜなら鬼のような先輩(役のコーチ)の目が光っている。
 一人でもタイミングが遅れたら全体責任で最初からやり直しなので皆必死だ。
 先輩に認められるとようやく卓球台に立つことを許される。
 こういった感じでフォア打ち、バック打ち、フットワークをひたすら反復練習。
 正しいスイングとか合理的な体重移動とか考える余裕など無い。
 筋肉痛だろうが腰痛(はマズいか)だろうがラケットを振り続けるのだ。
 次の練習サボりたいとかもう辞めたいとか考え出してからが本番で、その後地獄の夏合宿とか18日間連続対外試合とかまともな社会生活を送れるのか不安になるスケジュールであっという間に1年が経過する。
 2年目からは試合を意識した練習が加わり、今までどこにいたのか不思議だった監督(役のコーチ)がたまに顔を出して指導もしてくれる。
 こうして3年経つ頃には「頭では分かっているんだけど出来ないんだよなあ」などとこれっぽっちも思わなくなっている自分に気がつくだろう。
 考えなくても勝手に体が動くのだ。
 歩くように走るように、自然と体が反応する。
 右足を出すときは左手が後ろで、とか一々考えないでしょ。
 
 そうそう、言い忘れてたけど運が良ければ女子マネージャーまたはイケメンOB(役のコーチ)と甘酸っぱい体験も出来るオプションプランもあるので、気になった人は是非検討して欲しい。