毎週通っていた卓球教室に休みが変わって行けなくなった。
 お楽しみだったつじまる師匠との練習会も同様にダメ、ピンチヒッター的に利用していた都内の卓球教室もコロニャンのおかげで県境を越えられず、起死回生を狙って参加してみたユーウェルク卓球教室も夜遅いのが難点で続けにくい。
 コロニャンが猛威を振るう前までは毎週のように都内に出かけ、やれつじまる師匠練習会だ、やれ卓log会の練習&飲み会だ、やれ月曜昼間餃子会だと、盆と正月が一緒に来たような日々を送っていた。
 それにプラスして卓球教室、ユーウェルク卓球場個人レッスン、N氏との突撃ルポシリーズ、WRMやら国際卓球やらの聖地巡礼、正月セールにゴールデンウィークセールにオータムセールに創業祭と、卓球漬けの日々。
 それが今では卓球と言えば週に一度の妻との練習のみになってしまった。
 思えば卓球を始めた2014年からしばらくの間、練習相手は8割方妻であった。
 3年くらいはドライブどころかフォア打ちもまともにできず、ひたすら妻を相手にフォア打ちをしていた。
 その内妻も私の相手が嫌になってきたようで、とても楽しい雰囲気とは言えなかったが、とにかくフォア打ちだけでもできるようになりたかった。
 オール練習をするとコテンパンにやられ、ここがおかしい、あそこがおかしい、そこも変、何もかもダメだと指摘され続け、それでも続けたのは卓球が楽しかったからだ。

 あれから6年近くたってようやくオール練習でラリーが続くようになってきた。
 ラリーが続くと二人して大はしゃぎして喜ぶ。
 練習と言ったってフォア打ちバック打ちツッツキ対下回転打ちドライブと、時計のネジを巻き戻したかのような決まり切ったものばかり。
 1時間などあっという間に過ぎるが、程よい運動になって気分もすっきりする。
 用具も試しはするが、妻相手だと最先端の物を使ってもしょうが無いので、アグリットやDNAFUTURE、せいぜいヘキサーパワーグリップくらいが丁度良い。
 たまに我に返って
 「あれ、何のために練習しているんだっけ?」 
 などと妻が言うが
 「運動のためだろ」
 と言えばお互い納得してしまう。
 
 他の利用者といえばおなじみシニア男性3人組くらいしかいない。
 およそ卓球には不向きな広々とした薄暗い卓球場で、毎週決まった時間に妻と二人で練習していると、時間や曜日の感覚が徐々に薄らいでいく。
 1時間練習をして車に乗り、いつものドラッグストアで買い物をしたら一日の半分が終わり。

 いつもの練習、いつもの休日。

 あまり上達もしないが卓球自体は楽しい。
 
 そもそも試合に勝つとか強くなりたいとか、はっきりとした目標があったわけでも無く、敢えて言えば生涯楽しめるスポーツとして上達するのが目標でもあったので、これはこれで良いような気もする。
 卓log会メンバーや卓球王国のゆうさんとしゃぶしゃぶを食べたり、元WRMのはじめちゃんを地元に呼んで講習会をしてもらったり、ナルコさんと今は無きRED T TOKYOに突撃したり、つじまるさんと練習するために毎月2時間かけて東京に通っていたことなど、本当にあったことなのだろうか。
 逆光で黒い影となった妻と目を細めながら打ち合っていると、まるで長い夢でも見ていたような、そんな気さえしていくるのだ。