人は誰しも最良の伴侶(ラケット)を求めて彷徨う旅人なのかもしれない。
 若い頃は見た目や性能に拘って、格好いいデザインが良いとかずば抜けた性能が良いとか、黒いのが良い(黒檀)とか硬いのが良い(アウターカーボン)とか太いのが良い(厚ラケ)とか、あるいは人気のブランドの中から選ぼうとか、ふわふわとしたまま過ごしがちだ。
 経験を積み色々な相手(ラケット)との出会いの中で、自分にとってかけがえのないパートナー(ラケット)を手に入れた人は幸せだ。
  逆に他人から薦められるままに手にした最初の相手(ラケット)と生涯を共にすることもあるだろう。それはそれで幸運だと思う。
  気になる相手(ラケット)が多すぎて本命を絞り込めなかったり、あれこれ迷ったあげく結局は最初に出会ったあいつ(ラケット)が最高だったなと後悔したり、そんな人生もまた楽しいに違いない。
 さて自分を省みると未だに運命の相手(ラケット)には出会っていないと思う。
 数えるのが面倒なくらいの(ラケットとの)お付き合いがあったが、優柔不断の気質が災いしてこれと決めることが出来ない。
 流石に最近は外に出会いを求めるより、すでに手元にある中にこそ本命(ラケット)があるかもと考えている。考えて見たら今までは目移りが激しすぎて、ロクに相手(ラケット)の事など理解する間もなく次へ次へと進んでいた。
 ここらでじっくり腰を据えて、トコトンまで(ラケットを)味わってやろうという気持ちになっている。
 想像してみよう。
 (ラケットの)色から(ラケットの)ブレード形状から(ラケットの)重さから(ラケットの)グリップの握りから(ラケットの)匂いから(ラケットの)触り心地から全て好みの(ラケット)を握っている自分(ラケット)はどんなに素晴らしい(ラケットな)気持ちだろう。
 他には替えの効かない(ラケットの)その最良の(ラケット)こそ人生の伴侶(ラケット)だと私(ラケット)は思うラケット。
R7139235