卓球教室へ行くと、レッスン開始前にフリータイムの時間があるよね。
その時間を利用して顔見知りとフォア打ちとかツッツキとか、まあ準備運動みたいなのをするんだけど、僕たちの隣の台の人は相手がいなかったんだよね。
見かねた先生の1人が相手をしていたんだけど、その内どっかへ行っちゃって、その人はまた1人になっちゃったんだ。
そういう場合誰かに声をかけて、混ぜてもらって3人で打つことが多いんだけど、その人は奥手なのか面倒なのかはたまた疲れたのか、しばらくその辺りをぶらぶらした後、これまたどこかへ行ってしまったんだ。
一緒にやりましょうと声をかけるか迷ったんだけど、立っているのも辛そうな高齢の方(男性)だったし、気になりつつそのまま練習を続けてしまったんだ。まあ、後ろめたくなかったかと言えば嘘になるかな。
そんで教室が始まって、いつものように数分おきにローテーションしていったんだけど、最後の方になって件の高齢の男性と練習する事になったんだ。
正直ちょっとガッカリしたことを告白しておくね。
だって練習が始まるまで台の下にうずくまっていて休んでいるような、本当に卓球できるのか不安になるような人と、よりによって対下回転打ちドライブの練習をするなんて。
ドライブどころかツッツキだって、出来るかどうか怪しいもんだ。
いやいや、そう思うこと自体恥ずかしいよね。
自分だって上手な誰かが相手をしてくれていたのだ。
この時間は相手に楽しんで貰えればそれで良いじゃないか。
そう考えていたら穏やかな水面のような気持ちになってきた。
全ての人に優しく出来るような、衆生を見守る仏のような、そんな気分。
「どうぞ最初はあなたから打って下さい」
なんて、偉そうに言っちゃったよ。
僕だって全然へったぴなのに。
その高齢の男性(仮にJさんとしておく)がサーブを出して、僕がツッツキをして、それでJさんがドライブを打って、僕が返して、それをまたJさんが打ち返す、っていう練習を始めたわけさ。
案の定Jさんの下回転サーブはあまり切れていなくて、普通のツッツキで返すと浮いてしまう。
それでも無理矢理切ったり、敢えて切らなかったりしていたんだけど、どうも思っていたのと違うというか、Jさん結構ドライブが上手いんだよね。
上手いというかほとんどミスをしない。
足が動かないのでコースがずれるとダメだけど、手の届く範囲だったらキレイなドライブで返ってくる。
うーん、もしかしてそこそこ上手なのかなあ。
サーブは今ひとつだけど。
しばらくやって攻守交代して今度はこちらが対下回転打ちドライブを打つ事になった。
「いきますよー」と軽く言って下回転サーブを出す。
ツッツキが返ってくるのでドライブ。
案の定力が入って2,3回ミスが続いた。
するとJさんからアドバイス。
「ラケットが上を向いているからオーバーするんだ。垂直で振ってみなさい」
なるほど、確かにそうかも。
言われないと自分ではよく分からないんだよね。
アドバイス通りやってみたら、上手く出来た。
そしてこちらが打った球もきれいに返ってくる。
やっぱり上手いのかも。
気がついたのだが、ツッツキを意図的に長い球と短い球で分けて出してくる。
出るか出ないかギリギリの球も、ラケットを垂直にすると返せる。
「今のは上手く打ったね」
とお褒めの言葉。
そのほかにも色々小さな声で(お年のせいか大きな声が出せない)アドバイスをくれる。
そしてそのアドバイスが結構的確なのだ。
外見で判断していた自分を恥ずかしく思いながら、ありがたく教えを請うたね。
短い球を出すから台上ドライブをしろとか言われて、このJさん元コーチ?とか思いながら楽しく練習させてもらった。
ローテーションになって次の台に移るときには、心の底から深々とお辞儀をしたね。
先生だよ。
もはや先生だよ。
僕より遥か格上の存在だよ。
足が動いたら、この教室でも5本の指に入る実力者だよ。
健康卓球教室四天王とか呼ばれているに違いないよ。
なにしろ人数が多いこの教室、きっとまだ見ぬ強者が隠れているに違いない。
健康卓球教室だからと気軽に参加していたけど、何だか空恐ろしくなってきた。
右足を引きずっているGさんも、腰が痛いと嘆いているBさんも、ダイエット代わりに来ていると言っていたOさんも、現役時代は国体選手だったりインターハイ3連覇だったりするのかもしれない。
今後はよりいっそう謙虚に皆様方に接しよう、そう誓って体育館を後にしたのであった。
その時間を利用して顔見知りとフォア打ちとかツッツキとか、まあ準備運動みたいなのをするんだけど、僕たちの隣の台の人は相手がいなかったんだよね。
見かねた先生の1人が相手をしていたんだけど、その内どっかへ行っちゃって、その人はまた1人になっちゃったんだ。
そういう場合誰かに声をかけて、混ぜてもらって3人で打つことが多いんだけど、その人は奥手なのか面倒なのかはたまた疲れたのか、しばらくその辺りをぶらぶらした後、これまたどこかへ行ってしまったんだ。
一緒にやりましょうと声をかけるか迷ったんだけど、立っているのも辛そうな高齢の方(男性)だったし、気になりつつそのまま練習を続けてしまったんだ。まあ、後ろめたくなかったかと言えば嘘になるかな。
そんで教室が始まって、いつものように数分おきにローテーションしていったんだけど、最後の方になって件の高齢の男性と練習する事になったんだ。
正直ちょっとガッカリしたことを告白しておくね。
だって練習が始まるまで台の下にうずくまっていて休んでいるような、本当に卓球できるのか不安になるような人と、よりによって対下回転打ちドライブの練習をするなんて。
ドライブどころかツッツキだって、出来るかどうか怪しいもんだ。
いやいや、そう思うこと自体恥ずかしいよね。
自分だって上手な誰かが相手をしてくれていたのだ。
この時間は相手に楽しんで貰えればそれで良いじゃないか。
そう考えていたら穏やかな水面のような気持ちになってきた。
全ての人に優しく出来るような、衆生を見守る仏のような、そんな気分。
「どうぞ最初はあなたから打って下さい」
なんて、偉そうに言っちゃったよ。
僕だって全然へったぴなのに。
その高齢の男性(仮にJさんとしておく)がサーブを出して、僕がツッツキをして、それでJさんがドライブを打って、僕が返して、それをまたJさんが打ち返す、っていう練習を始めたわけさ。
案の定Jさんの下回転サーブはあまり切れていなくて、普通のツッツキで返すと浮いてしまう。
それでも無理矢理切ったり、敢えて切らなかったりしていたんだけど、どうも思っていたのと違うというか、Jさん結構ドライブが上手いんだよね。
上手いというかほとんどミスをしない。
足が動かないのでコースがずれるとダメだけど、手の届く範囲だったらキレイなドライブで返ってくる。
うーん、もしかしてそこそこ上手なのかなあ。
サーブは今ひとつだけど。
しばらくやって攻守交代して今度はこちらが対下回転打ちドライブを打つ事になった。
「いきますよー」と軽く言って下回転サーブを出す。
ツッツキが返ってくるのでドライブ。
案の定力が入って2,3回ミスが続いた。
するとJさんからアドバイス。
「ラケットが上を向いているからオーバーするんだ。垂直で振ってみなさい」
なるほど、確かにそうかも。
言われないと自分ではよく分からないんだよね。
アドバイス通りやってみたら、上手く出来た。
そしてこちらが打った球もきれいに返ってくる。
やっぱり上手いのかも。
気がついたのだが、ツッツキを意図的に長い球と短い球で分けて出してくる。
出るか出ないかギリギリの球も、ラケットを垂直にすると返せる。
「今のは上手く打ったね」
とお褒めの言葉。
そのほかにも色々小さな声で(お年のせいか大きな声が出せない)アドバイスをくれる。
そしてそのアドバイスが結構的確なのだ。
外見で判断していた自分を恥ずかしく思いながら、ありがたく教えを請うたね。
短い球を出すから台上ドライブをしろとか言われて、このJさん元コーチ?とか思いながら楽しく練習させてもらった。
ローテーションになって次の台に移るときには、心の底から深々とお辞儀をしたね。
先生だよ。
もはや先生だよ。
僕より遥か格上の存在だよ。
足が動いたら、この教室でも5本の指に入る実力者だよ。
健康卓球教室四天王とか呼ばれているに違いないよ。
なにしろ人数が多いこの教室、きっとまだ見ぬ強者が隠れているに違いない。
健康卓球教室だからと気軽に参加していたけど、何だか空恐ろしくなってきた。
右足を引きずっているGさんも、腰が痛いと嘆いているBさんも、ダイエット代わりに来ていると言っていたOさんも、現役時代は国体選手だったりインターハイ3連覇だったりするのかもしれない。
今後はよりいっそう謙虚に皆様方に接しよう、そう誓って体育館を後にしたのであった。
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