試合では存在感が無いが、ワンコース練習では無類の強さを誇る。
あまりに強すぎて、とある世界ランカーが練習を逃げた逸話は有名だ。
「ワンコースでやるなら貴絽良介だろう」と人々は口にする。
前陣から後陣、台上から空中まで制する、まさに絶対王者という趣(おもむき)であった。
これは後にスポーツ卓球を提唱し、スポ卓協会を立ち上げ、自らスポ卓ワールドカップの第一回優勝者に輝いた伝説の男の物語である。
貴絽 「まだ書きかけなんだから勝手に読むなよ」
犬千代 「貴絽さん、スポーツ卓球って何ですか?」
貴絽 「なんだ、スポ卓も知らんのか。今若者の間で大人気なんだぞ」
犬千代 「聞いた事ありませんよ。どうせ貴絽さんの妄想でしょ」
貴絽 「失礼なやつだな。スポ卓はメジャーな競技だぞ。次の東京オリンピックでは正式競技になるって事情通の間でささやかれているくらいだ」
犬千代 「そうなんですか。知りませんでした。スポーツ卓球について教えてください」
貴絽 「他ならぬ犬千代の頼みだ。説明してやろう」
犬千代 「スポーツ卓球については分かりました。試合に勝つことを目標としない卓球なんですね」
貴絽 「まあ、試合に出ても良いんだが、負けたらストレスが溜まるだろ?健康とストレス発散を考えたらスポーツ卓球が最適なのさ」
犬千代 「それで、このノンフィクションみたいなのは何だったんですか?主人公は貴絽さんっぽいけど」
貴絽 「自伝だよ自伝。将来有名になったときのために今のうちに書いておくのさ。常識だろ」
犬千代 「でもなんで急に有名になるとか思ったんですか?」
貴絽 「いや~、今日の練習がワンコースの基礎練習ばかりだったんだけど、えらい調子よくってさ。もうこのままワンコース練習の専門家になってもいいかなとか、考えちゃったんだよね」
犬千代 「くっだらなーい。まさに無駄な時間の見本って感じ。っていうか貴絽さん自体が無駄って感じ」
貴絽 「言ったな。スポ卓を設立してもお前は仲間に入れてやらん」
犬千代 「えー、スポ卓って本当に設立されるんですか?ごめんなさい、ブラックリストには入れないで」
貴絽 「考えておいてやる」
犬千代 「ありがとうございます。貴絽さんは、優しいですね」
貴絽 「当たり前だろ。俺はスポ卓初代会長になる男だ。黙って俺についてきなさい」
犬千代 「はーい。お願いしまーす」
貴絽 「じゃ、ちょっと俺は一服してくるから大人しくしてろよ。それと、パソコンには触るな」
犬千代 「了解でーす。」
犬千代 「貴絽さん、遅いなあ。そうだ、自伝の続きを書いてあげよう。きっと喜ぶよね」
事の起こりはとある卓球教室の出来事であった。
その日の貴絽は絶好調で、初心者相手にフルスイングドライブを連発し、まるで自分が強くなったかのような錯覚に囚われていた。
フォアもバックもツッツキまでもが絶好調。
当たり前である。
相手は初心者なのだ。
程よいスピードと回転と高さの球はまさに打ち頃で、メチャクチャ力んだフォームでスイングしても、当たりさえすれば矢のように台に突き刺さるのだ。
そしてラケットに貼られたラバーには、「テナジー05」の燦然と輝くモールド。
威力が出るのは用具のせいだろう。
マークVを貼って出直してこい。
喉まで出かかった言葉を寸前で飲み込み、犬千代は卓球場を後にした。
貴絽「さーて、続きを書くかな。おや、今出て行ったのは犬千代か?何だあいつコソコソと」
あまりに強すぎて、とある世界ランカーが練習を逃げた逸話は有名だ。
「ワンコースでやるなら貴絽良介だろう」と人々は口にする。
前陣から後陣、台上から空中まで制する、まさに絶対王者という趣(おもむき)であった。
これは後にスポーツ卓球を提唱し、スポ卓協会を立ち上げ、自らスポ卓ワールドカップの第一回優勝者に輝いた伝説の男の物語である。
貴絽 「まだ書きかけなんだから勝手に読むなよ」
犬千代 「貴絽さん、スポーツ卓球って何ですか?」
貴絽 「なんだ、スポ卓も知らんのか。今若者の間で大人気なんだぞ」
犬千代 「聞いた事ありませんよ。どうせ貴絽さんの妄想でしょ」
貴絽 「失礼なやつだな。スポ卓はメジャーな競技だぞ。次の東京オリンピックでは正式競技になるって事情通の間でささやかれているくらいだ」
犬千代 「そうなんですか。知りませんでした。スポーツ卓球について教えてください」
貴絽 「他ならぬ犬千代の頼みだ。説明してやろう」
犬千代 「スポーツ卓球については分かりました。試合に勝つことを目標としない卓球なんですね」
貴絽 「まあ、試合に出ても良いんだが、負けたらストレスが溜まるだろ?健康とストレス発散を考えたらスポーツ卓球が最適なのさ」
犬千代 「それで、このノンフィクションみたいなのは何だったんですか?主人公は貴絽さんっぽいけど」
貴絽 「自伝だよ自伝。将来有名になったときのために今のうちに書いておくのさ。常識だろ」
犬千代 「でもなんで急に有名になるとか思ったんですか?」
貴絽 「いや~、今日の練習がワンコースの基礎練習ばかりだったんだけど、えらい調子よくってさ。もうこのままワンコース練習の専門家になってもいいかなとか、考えちゃったんだよね」
犬千代 「くっだらなーい。まさに無駄な時間の見本って感じ。っていうか貴絽さん自体が無駄って感じ」
貴絽 「言ったな。スポ卓を設立してもお前は仲間に入れてやらん」
犬千代 「えー、スポ卓って本当に設立されるんですか?ごめんなさい、ブラックリストには入れないで」
貴絽 「考えておいてやる」
犬千代 「ありがとうございます。貴絽さんは、優しいですね」
貴絽 「当たり前だろ。俺はスポ卓初代会長になる男だ。黙って俺についてきなさい」
犬千代 「はーい。お願いしまーす」
貴絽 「じゃ、ちょっと俺は一服してくるから大人しくしてろよ。それと、パソコンには触るな」
犬千代 「了解でーす。」
犬千代 「貴絽さん、遅いなあ。そうだ、自伝の続きを書いてあげよう。きっと喜ぶよね」
事の起こりはとある卓球教室の出来事であった。
その日の貴絽は絶好調で、初心者相手にフルスイングドライブを連発し、まるで自分が強くなったかのような錯覚に囚われていた。
フォアもバックもツッツキまでもが絶好調。
当たり前である。
相手は初心者なのだ。
程よいスピードと回転と高さの球はまさに打ち頃で、メチャクチャ力んだフォームでスイングしても、当たりさえすれば矢のように台に突き刺さるのだ。
そしてラケットに貼られたラバーには、「テナジー05」の燦然と輝くモールド。
威力が出るのは用具のせいだろう。
マークVを貼って出直してこい。
喉まで出かかった言葉を寸前で飲み込み、犬千代は卓球場を後にした。
貴絽「さーて、続きを書くかな。おや、今出て行ったのは犬千代か?何だあいつコソコソと」
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