必ず遅延する8:17発の通勤快速が、全く遅れること無く東京駅に滑り込んだとき、私はむしろ不安になった。
 いつもと違う今日が、正常なのか異常なのか、私には分からない。
 ぱんぱんに膨らんだリュックを胸の前に抱えて満員電車から弾き出される。
 今までおそるおそる歩んできた平穏無事な時間軸から弾き出されたような、そんな錯覚に陥った私は長い階段を見上げて目眩を感じた。
 ナニカを諦めた人の群れに混じりながら階段を上る私は、独り、喜びに満ちあふれていた。
 何しろ今日はつじまる師匠と練習の日だ。

 予定通りに体育館に到着すると、すでにつじまる師匠が準備を済ませて待っていた。
 「お、おはようございます、つじまる師匠」
 「今日は早いでんなキロはん。これなら気持ちよう練習できまっせ」
 「いつも遅くてすみません。」
 プレッシャーで脇の下にじっとりと汗がにじむ。
 「それであれはどないでっか?」
 「あれ、とは?」
 額から吹き出る汗をハンカチでぬぐう。
 「アレと言ったらアレでんがな。ラケットやがな」
 「すみません。今日はこれくらいです」
 誰からも見られないように右手で5本、左手で1本の指を立てる。
 「6本。上々や。はよ支度してきなはれ」
 つじまる師匠の温かい言葉に感動しながら練習着に着替える。
 良かった。
 持ってくるか迷ったシェークバック表も使うはずの無い日ペンも、一応持ってきて本当に良かった。
 私はつじまる師匠と練習できる事に感謝し、喜びで頬を伝う涙をそっと拭った。
 無限に続く平行世界の時間軸で、ありとあらゆる可能性の分岐と合流が繰り返されたとしても、つじまる師匠と練習できる喜びは未来永劫変わること無く存在し続けるのだろう。



 人物紹介
  
サングラス5
キロ・・・・卓球道楽にうつつを抜かす道楽者。年齢職業不詳


       2真面目

 犬千代・・近所でぷらぷらしている暇な大学生。卓球に興味無し。性別不明
 
 犬千代「また嘘書いてる」
 キロ 「いきなり失礼なヤツだな。どこが嘘なんだよ」
 犬千代「この前紹介してもらったつじまる師匠さんって、全然こんな感じじゃ無かったです」
 キロ 「ちょっと何言っちゃてるの。こんな感じだったよね。営業妨害やめてよね」
 犬千代「何の営業してるのか分かりませんけど、つじまる師匠さんはもっと違う感じです」
 キロ 「分かんないねえ。具体的に言ってよ具体的に」
 犬千代「こんな偏屈なオヤジじゃ無いです。優しくて頼れるアニキって感じです」
 キロ 「え、そう書いてるじゃん」
 犬千代「面白おかしくしたくて適当書いてますよね。しかも面白くもおかしくもないし」
 キロ 「あ、言ってはいけないことを言ったな。面白くなくて悪かったな」
 犬千代「もう諦めて普通に書いた方がイイですよ。こういう無駄なパートとかも色々諦めて。そもそも誰もよ・・」
 キロ 「待て、皆まで言うな。俺の残り僅かなモチベーションまで奪う気か。無駄だ無駄だとお前は言うがな、無駄が文化なんだよ。必要だけじゃ世界は埋まらないんだよ。無駄をなくしたら何も残らないんだよ」
 犬千代「キロさんのブログそのものですね」
 キロ 「そんなに褒めるなよ」





 練習会で使った用具の覚え書き

 ①レボフュージョンxマントラHxタキネスチョップII
 ラケットもラバーも今回初使用。
 フォアもバックもワンコースなら打てないことも無いかな?
 ラケットが軟らかいのでマントラHも硬さを感じない。
 タキネスチョップはさすがに飛ばないなあ。
 フォアはミート気味になるので油断すると吹っ飛ぶ。
 試しにシェーク持ちしてみたら全く飛ばずにビックリ。
 握り方によってこうも印象が変わるのか。
 慣れない裏面打ちを試していたらその後ずっとバックのスイングが分からなくなってしまった。
 我慢できずに日ペンを最初に使ってしまったのが敗因。

 ②和の極み蒼xQ3xQ3
 バックはイイがフォアはキツい。
 厚く当てると回転がかかる前に飛んでしまうので台に収まらない。
 私くらいのスイングスピードでは扱えないかな。
 一生懸命振っても、スイングの割には回転がかかっていないとつじまる師匠からお言葉を頂く
 バックドライブは薄く捉えやすいのでやりやすい。
 弾く打ち方も同様。
 フォアのラバーをもっと軟らかくした方がよさそう。
 ツッツキは相変わらず低く収まってやりやすい。

 ③カルテットLFCxテナジー25xV11
 Q3の後だとあの25ですら食い込むのが分かって使い易い。
 バックのV11は打った方も受ける方もスカスカで軽い印象。
 Q1の方がよっぽどよさそう。

 ④ビスカリアxキョウヒョウNEO2x太陽プロ
 キョウヒョウは開いて打つと、大きくて浅い弧線を描いて急速に失速する弾道が面白い。
 擦ると普通。
 スイングスピードと打球音ですんごい球が飛んできそうで失速するギャップを楽しめる。
 バックの太陽プロは控えめに言っても最高。
 ミートもドライブもこの日一番。
 廃盤っぽいので継続使用できないところが難。
 ただしラバーのスイートスポット?がかなり狭く、ちょっとズレると凡ミスの嵐。
 腐っても?粘着だよ太陽プロ
 
 ⑤アルバxテナジー05xQ1
 それにしてもこの05は何年ものだ?
 シートの引っ掛かりは本来の性能の5割減くらいかもしれない。
 食い込ませているときは感じないが、擦ると滑る。
 買い換えたいが、財力がもたぬ
 Q1は問題なく良い

 ⑥UltimateOffensive2x北斗xモリストSP
 表はやめようと何度も思ったぢゃないか
 北斗はWRM特注のサンプル版だが、今まで使った北斗と違いは分からず。
 ムッチリ系で好きだが特徴があまりないバランスタイプ。
 多分。
 スポンジは硬い。

 つじまる師匠の用具の中ではQuantumXproソフトが印象的だった。
 軟らかいスポンジで扱いやすく、ミートもドライブもやりやすい。
 マントラSよりは上に飛ぶので、ドライブ派の方が向いていると思われる。

 3時間みっちり打ち合って、用意した3本の吸水性ヘアバンドを使い切った所で練習終了。
 いつもの場所でいつものように生ビールで打ち上げ。
 卓球TALKを満喫したらお開きの時間となる。
 こんなに楽しい事ってそうそうないなと思う。
 次は試打の時間を減らしてシステム練習をもっとやろうと話し合って別れたが、どうなることやら。
 その時その時で一番楽しいことをやるだけなのだ。