高校時の同級生でO君という人がいる。
 文化系クラブ所属のO君は、下ネタが好きで返答に困る冗談を連発する愉快な人だが、真面目な人柄のせいか同じ下ネタでも下品にならない人徳の持ち主でもあった。
 彼がどういういきさつか、卓球に並々ならぬ情熱を注ぎ始めたのは2年生の頃だったか。
 全く卓球に興味がなかった私を含めた数人の暇そうな連中を集め、昼休みや自習時間(1日の半分は自習という酷い高校だった)に大きなテーブルのある教室で練習を始めた。
 ラケットはどこから調達してきたのか複数所持しており、そのラケットを使用して練習をするわけである。
 O君は卓球経験者では無いので彼から教わるわけでは無いが、 試合形式で何度も打ち合う打ちに興味が出てきた私は、書店に出向いて卓球入門書を買い求め(私はのめり込むとすぐに入門書を買う。ボーリング入門 ゴルフ入門 テニス入門などなど)、基本的なフォームやドライブサーブの出し方を家で素振りをして研究した。
 
 そのうちO君はもっと本格的にやろうと思ったのか、埼玉卓球会館という大袋駅近くに今もある卓球場に皆を集め、本物の卓球台を使用して練習を始めた。
 そこまで情熱を傾けていながらO君は卓球部員ではないのである。 
 彼はなぜあそこまで卓球に対して真剣に取り組んでいたのか。当時の私たちには理解できなかったが、大人になって改めて卓球を始めてみた身としては、あのころの彼の気持ちが今なら理解できるような気がするのである。
 今では年賀状のやりとりだけになってしまったが、元気でいるだろうか。
 O君が今でも卓球を続けていることを願う。