卓球迷宮地下1階

~貼ったり はがしたり また貼ったり~

カテゴリ:卓球個人事情 > 創作


 前の記事の修正版です




 先日ラバーの質問があったので都内の某卓球ショップに初めて行きました。
 そこで出会った店員の応対が印象的だったので、覚えている限りを再現しました。


「ちょっとラバーのことで質問があるんだけど」
 

「はい何でしょう」
 

「今までヤサカのライガンスピンを気に入って使ってまして」
 

「ライガンスピン、あれは良いラバーですよね」
 

「ええ、それでその次のラバーというか、ステップアップするとしたらどんなラバーが良いか教えて欲しくて」
 

「ライガンスピンが気に入っているなら、もう少し弾みの増したラクザ7でしょうね」
 

「ラクザ7ですか。メモしておこう。ちなみにラクザ7からステップアップするなら?」
 

「ラクザ8ですね」
 

「ほうほう、ラクザ7の次は当然ラクザ8、ってラクザに8ってあったっけ?」
 

「あります。あまり知られてませんが。ラクザ7の後已打底タイプのNEOラクザ7が発売されて、プラスチック球切り替え時にラクザ8が」

「ラクザに已打底?」

 

「すみません勘違いです。どうもこう暑いとダメですね。ラクザ7の次はロゼナがよろしいと思いますよ」
 

「暑さのせいかなあ。まあいいや。なるほどbutterflyのロゼナですか。評判良いですよね。なるほど。ちなみにロゼナの次に使うとしたら、あ、あのトップ選手御用達の・・」
 

「そうです。ロゼナ7です」
 

「ちがうだろ。釘差しておくけどロゼナ8でもないからな」
 

「こりゃ1本取られた」
 

「あんた変だよ。本当にここの店員さん?」
 

「そうですよ。ここの店長です。真面目に行きましょう。もちろんロゼナの次はあのテ・・テ・・・テ・・・」
 

「言い淀むほどのこと?」
 

「すみません 恐れ多くて」
 

「やっぱりあんたおかしいよ。普通に言いなよ」
 

「緊張しちゃって。ロゼナの次は同じbutterflyのテンペストですね」
 

「古いよ。とっくに廃盤だよ。もはやどんなラバーかも分からないよ」
 

「そこはぐっちいさんのブログを参照して下さい」
 

「参照してくださいじゃないでしょ。本当に売っているなら出してきてよ」
 

「テンペストなんか売ってませんよ。しっかりしてくださいよお客さん。ロゼナの次はテンキョク2ですね」
 

「ゴリゴリの粘着じゃん。ロゼナの次がなんで粘着ラバーなんだよ。何言ってんだよ。ロゼナの次に来る『テ』がつくラバーって言ったらテナジーしかないでしょ」
 

「テナジー。そうですテナジーです。私がどうかしてました。お許しください」
 

「急に低姿勢になったな。まあ分かればいいですよ。それでテナジーっていっても何種類もあるじゃないですか。05とか64とか。ロゼナの次はやっぱり80FXとかですか?」
 

「まあ80FXも良いラバーですけど、当店一押しはこのテナジーです。テナジー05極薄」
 

「どこのWRMだよ。なんで極薄、しかも真空パッケージだよ。よくみりゃ05じゃなくて0.5だよ。アポロ5ですら0.7mmなのに。買うわ。むしろ買うわ。これいくら?」
 

「はいありがとうございます。8000円です。あと特注なのでITTF入ってません」
 

「使えないじゃん。それにメイドインチャイナって、全然テナジーじゃないよ。値段だけテナジーだよ。もう帰るわ」
 

「テナジー0.5極薄皮付きブルースポンジもありますよ」
 

「ブルスポ! いや帰るから」






「分かりました。本当のとっておきを出します」
 

「もういいよ。帰るから」
 

「まあ、そう言わずに。これはbutterflyの試作品なのですが、ブライスハイスピードで実用化されたマイクロレイヤー技術をさらに進化させて、それをテナジーの粒形状と組み合わせたラバーでして。このラバーを使ったらあまりの気持ちよさにもう他のラバーは使えないという中毒性の高いラバー。その名もテナジーオリジナル0.01」

「良さそうだけど何か名前が嫌だなあ」
 
「薄さ0.018mmの驚異的な薄さ、他社と比較して3倍の強度、あの嫌なゴムの臭いゼロ」

「念のために聞くけどラバーの話だよね」

「そうです。他に何があるとでも?そしてこのラバーの画期的なところはリバーシブルになってまして、裏返すと表ソフトになります」

「絶対それ卓球のラバーじゃないよね。他のゴム製品だよね」

「心配ご無用です。裏返すとテナジー独自の粒形状が表面に出ることにより適度な摩擦と・・」

「はいアウト」

「どうですお客さん、中の個室で試着、いや試打しませんか? 私がお相手しますよ」

「なんだよ試着って。言い直したよね。怖いよもはや」

「お嫌ですか?それならサンプル品をご自宅に送ります」
 

「頼むからやめて」

「サイズはやっぱりL? 大丈夫です。私がご自宅まで出向いて無料でセットいたしますから」

「おーい誰か警察呼んで」 

 

 先日ラバーの質問があったので都内の某卓球ショップに初めて行きました。
 そこで出会った店員の応対が印象的だったので、覚えている限りを再現しました。


「ちょっとラバーのことで質問があるんだけど」
 

「はい何でしょう」
 

「今までヤサカのライガンスピンを気に入って使ってまして」
 

「ライガンスピン、あれは良いラバーですよね」
 

「ええ、それでその次のラバーというか、ステップアップするとしたらどんなラバーが良いか教えて欲しくて」
 

「ライガンスピンが気に入っているなら、もう少し弾みの増したラクザ7でしょうね」
 

「ラクザ7ですか。メモしておこう。ちなみにラクザ7からステップアップするなら?」
 

「ラクザ8ですね」
 

「ほうほう、ラクザ7の次は当然ラクザ8、ってラクザに8ってあったっけ?」
 

「あります。あまり知られてませんが。ラクザ7の後已打底タイプのNEOラクザ7が発売されて、プラスチック球切り替え時にラクザ8が」

「ラクザに已打底?」

 

「すみません勘違いです。どうもこう暑いとダメですね。ラクザ7の次はロゼナがよろしいと思いますよ」
 

「暑さのせいかなあ。まあいいや。なるほどbutterflyのロゼナですか。評判良いですよね。なるほど。ちなみにロゼナの次に使うとしたら、あ、あのトップ選手御用達の・・」
 

「そうです。ロゼナ7です」
 

「ちがうだろ。釘差しておくけどロゼナ8でもないからな」
 

「こりゃ1本取られた」
 

「あんた変だよ。本当にここの店員さん?」
 

「そうですよ。ここの店長です。真面目に行きましょう。もちろんロゼナの次はあのテ・・テ・・・テ・・・」
 

「言い淀むほどのこと?」
 

「すみません 恐れ多くて」
 

「やっぱりあんたおかしいよ。普通に言いなよ」
 

「緊張しちゃって。ロゼナの次は同じbutterflyのテンペストですね」
 

「古いよ。とっくに廃盤だよ。もはやどんなラバーかも分からないよ」
 

「そこはぐっちいさんのブログを参照して下さい」
 

「参照してくださいじゃないでしょ。本当に売っているなら出してきてよ」
 

「テンペストなんか売ってませんよ。しっかりしてくださいよお客さん。ロゼナの次はテンキョク2ですね」
 

「ゴリゴリの粘着じゃん。ロゼナの次がなんで粘着ラバーなんだよ。何言ってんだよ。ロゼナの次に来る『テ』がつくラバーって言ったらテナジーしかないでしょ」
 

「テナジー。そうですテナジーです。私がどうかしてました。お許しください」
 

「急に低姿勢になったな。まあ分かればいいですよ。それでテナジーっていっても何種類もあるじゃないですか。05とか64とか。ロゼナの次はやっぱり80FXとかですか?」
 

「まあ80FXも良いラバーですけど、当店一押しはこのテナジーです。テナジー05極薄」
 

「何ラバーマーケットだよ。なんで極薄、しかも真空パッケージだよ。よくみりゃ05じゃなくて0.5だよ。アポロ5ですら0.7mmなのに。買うわ。むしろ買うわ。これいくら?」
 

「はいありがとうございます。8000円です。あと特注なのでJTTAAもITTFも入ってません」
 

「使えないじゃん。それにメイドインチャイナって、全然テナジーじゃないよ。値段だけテナジーだよ。もう帰るわ」
 

「テナジー0.5極薄皮付きブルースポンジもありますよ」
 

「おーいスプリングスポンジはどこへ行った」




迷宮エレジー


また戻るよ 振出しに

いつの間にか 全てが無かった事になっても 

大丈夫だよ いつものことさ

僕にとっては こんなこと 日常茶飯事


繰り返し 繰り返す

昨日のことなど 無かったように

進歩も 上達も 達成感も

いつものように アブクブクブク消えていく


ああそれが 無限のループ

始まりと終わりは 同じ蜃気楼の見た夢

ああそうして どこへも行けない

僕だけが 閉じ込められた世界


また戻るよ 振出しに

引いて当てて 振り上げて飛んでいってしまった

ネットを超えたのは いつのことだった?

届かないのは 僕の心 ただそれだけ


繰り返し 繰り返す

明日の夢など 失われたまま

技術の 進歩も 重ねた希望も

いつものように アブクブクブク消えていく


ああそれが 無限のループ

始まりと終わりは 同じ螺旋の見た夢

ああそうして どこへも行けない

この場所は 出口など無い迷宮









 ちっとも上達しない。
 これほど熱心に取り組んだスポーツって他に無いよ。
 技術的なことだけではなく、使う道具まで研究しているんだよ。
 有料の個人レッスンだって何度も受けてるんだよ。
 家で素振りまでしてるんだよ。
 歳のせいにしていたけど、それだけなんかな?
 もっと適当にやっていたテニスとか柔道とかサッカーでも弱いなりに試合の形にはなっていたよ。
 サッカーで言ったらシュートはおろかパスもドリブルもできないレベルだよ。
 柔道で言ったら受け身を覚えてそこで止まっているレベルだよ。
 テニスで言ったらフォアハンドストロークはもちろんサーブも下からしか打てないレベルだよ。
 いくらなんでも難しすぎないかな卓球。
 
 そして気がついてしまった。
 これは私が運動オン、いや苦手なのが原因では無く、別の世界線に迷い込んでしまったのだと推測される。
 簡単に言うと、絶対上手にならないような仕組みを作って、永久に末端底辺プレーヤーから卓球界がお金を搾り取っている恐ろしい世界線なのだ。

 長年修行をしないと扱えないような軽くて小さい球&体の動きを邪魔する台&持ちにくくて扱いにくいラケット&絶妙に嫌な高さのネットを使用するスポーツを、あたかも簡単で楽しい競技であるかのように温泉卓球などと実態とはかけ離れたイメージと結びつけて喧伝する暗黒卓球界。
 末端底辺プレーヤーの味方のような顔をしている卓球教室も、ギリギリ達成感を与えてそれ以上は上手にならないようにコントロールして生徒を確保。真理に到達しそうになるとミスリードして生煮え状態から抜け出させない。
 メーカーはもっと合理的な方法があるにも関わらず、手作業での接着剤塗り&ハサミでカットという原始的な使用方法をユーザーに強要し、簡単に組み合わせを試す事を許さない。また、ほぼ同じ性質の用具をネーミングや塗料を変えて新製品と偽り価格をつり上げ末端プレーヤーからなけなしの小遣いを搾取。最新技術を駆使して、どんなに上手に打っても良い球はでないが、一定の割合で改心の一打が打てて、使用者が勘違いする特殊製造用具をせっせと発売している。
 ピンポン球などと可愛らしい名前だが、回転をかければかけるほど棒球になり、ある一定レベルを超えると割れるよう緻密な製造プロセスを経て作った球に★のマークをたくさんつけて売っている。
 もちろん雑誌メディアはメーカーと結託して購買意欲を煽る。0.1mmの違いを100mくらいの違いだと感じてしまうほどだ。
 技術解説と称してCGを使ったフェイク写真を掲載し、実現不可能な技を初心者技術と偽っているから、毎号毎号購入して舐めるように眺めても、ちっとも上達などしない。
 YouTubeは身近な親しみやすいお兄さんお姉さん風のキャラクターを使って、代表選手レベルの技術を練習すれば誰でも出来ますよニッコリといった感じの動画に仕上げているから、そりゃどんなに熱心に見たって同じようにはできない仕組みになっている。必死な私たちは、いつかは出来るはずだと信じて繰り返し見て、挙げ句の果てにDVDを買ったりとんだ間抜け面をさらしているわけだ。
 
 これで上手になるわけはない。
 上達しないように計算し尽くされているのがこの世界の真実なのだ。
 本当の世界に戻りたい。
 練習すればしただけ上達する健全な卓球界に帰りたい。
 こんな恐ろしい暗黒卓球界が支配する世界線はもう懲り懲りである。
 今更だが気がついて良かった。
 もう少しで手遅れになるところだった。
 この真実を速やかに伝えて暗黒卓球界の支配からd・・

 おや、誰か来たようだ

 
 
  


僕の手元に1本のくたびれた卓球ラケットがある。

上板が剥がれ、縁が欠け、グリップが黒ずんだそのラケットは、確かに6年間娘と共にあった。

高校生になって卓球から離れた娘のルミは、今まで打ち込んだ情熱などきれいさっぱり忘れたようで、部屋の片隅に放ってあったラケットを僕が引き取ることを申し出ても何の感慨も見せず、ますます僕を落胆させた。


僕とルミは同時に卓球を始めた。

卓球の相手を探していた妻が、手っ取り早く夫と娘を引き込む事を思いついたのは、ルミが小学校4年生の時だった。

サッカー少年団に所属していた長男の龍三郎のオマケのような存在から、自分が主役になれるのが嬉しかったのだろう。ひわた市主催の卓球教室で僕と妻と一緒に練習するだけでは満足せず、隣のきわせ市で活動していた卓球サークルに加入して、あっという間に僕との差を広げていった。


ひわた市もきわせ市も、小学生女子の卓球人口はとても少ないので、一回勝てば決勝戦ということも珍しくなかったが、入賞する喜びを経験できたことは意味のあったことだと思う。

その頃の僕はといえば、まともにフォア打ちもできないありさまで、ルミが6年生になる頃には全く敵わなくなっていた。もちろんそんなそぶりはルミの前では見せなかったけど。


ルミはとにかく負けず嫌いで、僕や妻が相手でも負けそうになるとよくふくれっ面をしていた。

僕は楽しく遊べればそれで良かったので真剣に打ち合うことも無かったけど、ルミ以上に負けず嫌いの妻は思いっきり打ち込んではルミを泣かせていた。

「泣くからあんたとは打ちたくない」

なんていう妻のセリフを何回聞いたことか

聞いているこちらはハラハラしっぱなしだった。 


この頃だったかな。

WRMのセールにルミと2人で出かけて、僕がラケットにイラストを描いてもらったら店を出た後自分のラケットにも描いてもらうようお願いして欲しいとしつこく言ったり、ラバーを買ってあげたらすぐに使ってみたいからと自宅に戻ってすぐに着替えをして卓球場に行ったり、市のプール内にある卓球場で汗を流した後そのまま着替えてプールに飛び込んだりしたのは。


土星プロ 水星2ブルースポンジ パナメラ(中国の表ソフトだ) オリジナルエキストラ ハモンド ザルト プラクソン350 

僕の用具研究に基づいて色々貼り替えたけど、喜んでくれていた頃は可愛かったなあ。



中学生になったルミは、親の期待通り卓球部に入部した。

卓球ブームといえるタイミングだったので、入部した生徒は多かったけど、経験者はほぼルミ1人だったようだ。

昔は強かったとはいえ、近年の六方中学女子卓球部はぱっとしない実績を積み重ねていた。


僕も妻も楽しく卓球をしてくれれば良いな、くらいに考えていたので勝敗はどうでもよかったんだ。

けれどもルミは違ったらしい。

個人戦より団体戦。

自分が勝つことよりみんなで勝ちたい。

そんな気持ちはいつしかみんなに伝わったんだろうね。


2年生まではルミ1人が強くて、何度も県大会に出場して県ベスト16とか32とか、ひわた市では名の知れた存在になっていたんだ。

なにしろ道を歩いていると他の学校の女子卓球部員から声をかけられ、卓球場で僕や妻と練習していると他校の男子卓球部員から試合を申し込まれ、試合に出ると「あれがルミさんよ」と周りがざわざわし、一緒にいた妻は「ルミさんのお母さんですね」と見知らぬ中学生から挨拶されるような、まるでマンガの登場人物みたいな存在になっていたのだ。


そしてルミの同級生達も真面目な子が多かったのだろうね。

一生懸命練習をして、いつしか市内でも優勝候補の一角と言われるようになっていたんだ。


そして中学3年生の最後の大会。

市の体育館で決勝を争ったのはライバル校の千早台中学。

僕は見に行けなかったけど、間近で見ていた妻によれば団体戦は大接戦の末負けてしまったらしい。

個人戦の準決勝の相手も千早台中学のエース。

ルミもちょっと前までは市内敵無しだったけど、さすがに3年生にもなると他の子も上手になっていて、特にこの千早台中学の子にはルミも練習試合では勝てなかったとは妻の談。

身内の妻の言うことだから話半分で聞いて欲しいけど、この個人戦準決勝は取ったり取られたりのもの凄い激闘だったんだって。

最後には実力以上の力を発揮したルミが試合を制して、握手しながら感極まって大泣きしたっていうから、相当嬉しかったんだろうね。

そのまま決勝も勝ったルミは見事県大会出場を決めたんだ。


市内大会が終わって同級生達はみな引退したんだけど、県大会に1人出場するルミのために、何人か自主的に練習相手を勤めてくれた。ホント嬉しいよね。


みんなで一緒に県大会出ることを目標にしていたルミは、1人参加した県大会ではモチベーションが上がらぬまま一回戦で嘘のようにボロ負けをして帰ってきた。

頭の中は高校受験で一杯だったのか、市内大会団体戦敗退の時点ですでに中学卓球は終わっていたのか、不思議とすっきりした顔だった。



高校生になったルミは卓球部を選ばなかった。

「卓球もやりたいけど他にももっとやりたいことがある。

卓球が嫌いになったり飽きた訳じゃないよ。」

ガッカリする僕を慰めるように言うルミの表情は随分大人っぽくなっていた。
 

僕はちょっと恥ずかしくなって視線をそらした。

すると不意にあの頃のルミの姿が蘇る。

ふくれっ面でラケットを振るルミと、同じくふくれっ面で打ち返す妻。

ふくれっ面だけど、2人とも目は笑っているじゃないか。

何だ、やっぱり卓球が好きなんだな。

僕は何だか可笑しくなった。


ルミはきっとまた卓球を再開する。
何年後、何十年後かは分からないけど。
高校を卒業して、大学生になって、社会人になって、結婚して、ある日急に思い立って卓球を再開する。
その頃には結婚して子供がいるかもしれない。
ふくれっ面をして練習をしている子供に向かって、「私はあなたくらいの時はもっと強かったのよ」、と言っているかもしれない。

その時のために、上板が剥がれ、縁が欠け、グリップが黒ずんだラケットを僕は大事にしまっておくことにしよう。
君が再び卓球と出会う日まで。



 数%の割合で存在する比較的時間をかけて書いた記事たちは思い入れがあるのでたまに自分で読み返したりしてます。
 









































 私を卓球の道に引っ張ってくれたのは妻でした。
 ブログを遡ってみると、私は1994年から卓球を始めたようなので、あれから6年も経ってしまったのですね。
 妻はその1年前から卓球を再開しました。
 7年前ですから私も妻も40歳になったばかりだった事になります。
 中学から高校にかけて卓球部員だった妻は、一応卓球経験者とは言ってましたが、あまり積極的に話したことはなかったように思います。
 卓球経験者であることを大っぴらに言えなかった時代があったことは、多くの方に賛同していただけると思いますが、妻もその1人でした。
 子供が小学校に上がり、育児に費やされる時間が減ってきて、ようやく自分の時間が取れる、丁度そういうタイミングで、妻は仕事と卓球を再開しました。
 つい昨日のことのように思い出せますが、卓球の出来る場所をあれこれ探していた妻は、県が主催の卓球教室を見つけてきて、さっさと1人申し込んできたものです。
 その頃の私は卓球など興味が無く、数年前までやっていたテニスを再開しようか迷っていたくらいで、毎週いそいそと卓球教室に出かける妻を何の感慨も無く見送っていました。
 もちろん妻も私を誘ったりはせず、学生時代使っていたラケットを実家から取り寄せて練習を継続していました。
 さすがにラケットもラバーも古びていて、買い換えの為に国際卓球高田馬場店に行くというのでくっついていったのですが、当時全く卓球に興味の無かった私にとって卓球専門店など未知の世界であり、店員にあれこれ専門的(に思えた)な質問をしている妻の邪魔をしないように、離れた場所でじっとしていました。
 まさかその後何十回も1人で通うことになるとは、誰が予想できたでしょうか。自分でもびっくりです。
 確か妻はコクタクの反転式ラケットを買っていたように記憶しています。
 妻が卓球であれなんであれ、運動を定期的に行っているのは健康維持のためにも良いことだと、私はそれくらいの認識でいました。
 一方妻には妻なりの目論見があり、なんとかして卓球の練習相手を家族の中に育てようと考えていたようです。この考え方も多くの方にご賛同いただけることと思います。
 徐々にではありますが、妻が楽しそうに通っている卓球教室に興味が出てきた私は、1年後に娘と一緒に同じ卓球教室に入会することになりました。
 全くの初心者である私はまともに打つことも出来ず、休みのたびに妻に相手をしてもらい、地元の卓球場で練習をしました。
 自分で引き込んだ手前、妻も断りにくかったのでしょうか、仕事帰りで疲れているにも関わらず、よく付き合ってくれました。
 今思えばあの頃の妻はまだ若かったのでしょう。
 卓球教室の他に卓球サークルも見つけてきて入会し、私との練習以外に週に3回以上練習して、試合にも参加していました。 
 
 私と一緒に始めた娘が部活を引退するころには、妻の健康状態が下降し始め、一緒に練習する機会も減ってきていました。
 妻が練習相手になってくれないので、私は自分で相手を探さざるを得ず、そういう中でブログを通して知り合った立野Bさんやつじまるさんと練習したり、都内の卓球教室に通うようになっていきました。
 妻も練習をしたそうな顔をしていましたが、肩が痛い、腰が痛い、足が痛いと具合がひたすら悪いようで、 元気だったあの頃が嘘のような有様になっていました。
 そうこうしているうちに体調はますます悪化していき、会話のほとんどが体の不調に関する事ばかりになり、卓球はおろかちょっとした運動でさえ苦痛の様子でした。

 私は今でも思い出すのです。
 暑い夏の日に公園内卓球場前のベンチで待ち合わせておにぎりを食べた後に練習したこと、 多球練習のために虫取り網を2人で抱えて公民館に通ったこと、国際卓球のGWセールに気合いを入れて開店前に並んだこと、などなど。
 私が卓球を一生懸命やろうと思ったのも、妻とまともに打ち合いたい、そんな単純な動機だったように思います。
 いつかは妻より上手になって見返してやるのだと。
 結構低い志だったのですね。
 結局最後までそれは達成できず、いつまで経っても追い抜くことは出来ないままでした。

 妻と最後の練習をしてからも、私は1人練習を続け、少しは上達したと思います。
 もし今あの頃の妻と試合をしたら勝てるのでしょうか。
 良い勝負をして、結局最後は負けているような気がします。
 考えて見たら、妻と打てさえすればそれで満足だったのだなと、今更ながら思います。

 卓球に引っ張り込んでくれてありがとうと、もっとちゃんと言っておけば良かった。
 




 あ、今度久し振りに妻と練習に行ってきます。
 長かった四十肩も痛みがほとんど無くなったようだし。
 良かった良かった。
 健康って、本当に大事ですね。
 
 
 
  

セッチャクザイ ガ ナカッタヨ

作詞 細野キロ臣
作曲 募集中



接着剤 接着剤 接着剤 が ナカッタヨ

接着剤 接着剤 接着剤 が ナカッタヨ


接着剤 オー  接着剤 オー

接着剤 オー  接着剤 が ナカッタヨ


フリーチャック ファインジップ ラテのり子 

のりすけ クイック&イージー ブルーコンタクト


透明なフィルムをそっと開けると 中にはぴかぴかのラバー

カラフルなスポンジを上にして  接着剤を 塗りたくろう


接着剤 接着剤 接着剤 が ナカッタヨ

接着剤 接着剤 接着剤 が ナカッタヨ


アー  接着剤 アー  接着剤

アー  接着剤 アー  ナカッタヨ


フリーチャック ファインジップ ラテのり子 

のりすけ クイック&イージー ブルーコンタクト


透明なフィルムをそっと開けると 中にはぴかぴかのラバー

カラフルなスポンジを上にして  接着剤を 塗りたくろう


接着剤 接着剤 接着剤 が ナカッタヨ

接着剤 接着剤 接着剤 が ナカッタヨ


アー  接着剤 アー  接着剤

アー  接着剤 アーアー  
ナカッタヨ



真っ赤なラバー
作詞 松キロ隆
作曲 募集中

お気に入りの 真っ赤な ラバー

大好きだった 真っ赤な ラバー

縮んでしまって もう 使えない

そんなに 使って いないのに


いつか また 使う日が くると

大事に しまって おいたのに

キレイな シートが 虚しいだけ


接着層を ゆっくり 剥がす

ラケットに そっと 乗せる

ほらやっぱり ちょっと 足りない

伸ばしても 埋まらない 隙間がある


きっと また 使いたく なるから

小さな ラケットを 手に入れて

真っ赤な ラバーを 貼りましょう

 

 俺は今走っている。
 何で走っているかだって?
 それじゃお前に聞くけど、目の前に見たことの無い飛行物体が大挙して現れたらどうする?
 飛行物体とか勿体ぶって言ったけど、つまりはUFOだ。
 そりゃ走って追いかけるだろう。
 右も左も前も後ろも同じ考えの暇人共が息を切らせて走っている。
 おっちゃんもおばちゃんも学生もサラリーマンもご隠居もみんなだ。
 気がつくと俺たちのすぐ上を飛んでいたUFOが段々高度を落として着陸態勢に入っている。
 おっと自己紹介が遅れた。
 俺の名前は貴絽良介。
 高校生、卓球部員、補欠、恋人募集中。
 以上。
 間近に迫ったUFOのうち、一番大きいヤツがぴかぴかと光り始めた。
 一体何だと思う間もなく垂直に降下しだして、目の前に着陸しやがった。
 まあ本来なら色々描写しなくちゃイケないんだけど面倒なので省略ね。
 UFOが着陸してハッチ見たいのがぱかっと開いて、内側が光で溢れているよくある映像を思い出してくれ。
 そんでもって光の中から人影?が二つ降りてきたんだ。
 俺も周りのみんなも目を凝らして見てたね。
 危険を感じなかったかというともちろん感じていたさ。危険より興味が勝っただけだ。
 いわゆる野次馬根性というヤツだ。
 そうこうしているうちに降りてきた宇宙人がどんな姿か見えるようになってきた。
 2人に内ひとりは銀色のフィットしたウェアを着ている恰幅の良いおっさん。
 もう1人は、同じ素材のウェア、ただしビキニ姿のグラマラス美女。
 どちらも地球人と変わらない気がするけど、よく見りゃ額に角が生えている。
 逆に違いはそれくらい。一見ね。
 当然オッサン宇宙人なんかに興味は無い。
 セクシー美女宇宙人を食い付くように眺めていたさ。
 この頃になると取材の記者やカメラマンがワンサカと集まってきて、騒然としていたね。
 何が始まるのかと思ったらオッサン宇宙人が拡声器を取り出して喋りだした。
 「地球の皆さんこんにちは。私たちは遠くの星から来ました。そして今からこの星は私たちの所有物になります」
 一瞬何を言っているのか分からなかったが、ようは地球を占領しに来たらしい。はるばる遠い星からご苦労なことだ。
 「そうは言っても皆さんも納得できないでしょう。それで私たちはあなた方にチャンスを与えようと思います。私たちとある競技で勝負をしてもらいます。その勝負に負けたら私たちは大人しく引き下がります。もし私たちが勝ったら7時間以内に全ての国を破壊します。地球人は9割以上死にます。」
 「その競技とは何だ」
 人混みの後ろから同じように拡声器を通した声が聞こえてきた。
 聞き覚えがある。地元の市長だ。
 「あなた方の言葉で言えば 卓球 です。こちらの代表は横にいる娘です。あなた方の代表を一名選出して下さい。試合会場はここ、試合開始は明日のこの時間です。それではお待ちしてます」
 一方的に喋って宇宙人達はハッチの内側へ消えてしまった。
 何だ卓球って。
 なぜ卓球で勝負なんだ。
 宇宙人のすることはさっぱり分からない。
 どちらにしても俺には関係ない話だ。
 見る物も見たし家に帰るとしよう。
 再び上昇しだしたUFOの大群を背に帰路についた。


 ボロアパートに着いたら驚いたね。
 市の職員が2人待ち構えていて、地球人代表に選ばれたから明日の勝負に出ろとかぬかしやがる。
 もちろん俺は断った。 
 だいたい選出理由がネットで検索っていうのがおかしい。
 そりゃTwitterじゃ偉そうなことを散々書き散らしていたかもしれないけど、実力とは関係ないだろ。
 でも結局は出ることになった。
 あのセクシーな美女宇宙人を間近に見たいってのもあったし、勝っても負けても地元の大学に入れてくれるってのが決め手になった。
 
 あっという間に試合当日。
 対戦相手の美女宇宙人は、昨日と同じ銀色のビキニを着ている。
 額の角は気にならないが、他の部分が気になって気になって仕方が無い。
 もはや反則だろ。
 試合の内容はクドクド書かない。
 読んでもつまらないだろ。
 最終的に勝ったのは俺だ。
 卓球の腕前では全く敵わなかったけど、前日に考えた作戦、「ビキニの紐を狙ってスマッシュ」が見事に決まったのさ。
 おちそうな水着を抑えながらじゃ本来の実力も発揮できないだろう。
 とにかく勝ったのは俺。
 大学入学を勝ち取り、ついでに地球も救ってやった。
 美女宇宙人(名前はアムとかそんな感じの発音)は悔し涙を浮かべていたけどね。

 その後平凡な日常に戻ったのかと思いきや、何故か俺のことを気に入ったアムが俺と同じ高校に入学してきて、他の宇宙人まで巻き込んで、卒業までなんやかんやと騒動が続いた。
 俺は楽しかったけどね。
 
 さてここまで読んで、あの有名なマンガのパクリとか思ったヤツ、手を上げて。
 違うから。
 この話は本当にあった事だし、むしろこっちがオリジナルだから。
 俺の体験談を聞いて、インスパイアされたのがあっちだから。
 以上。
 
 
 
 
 
 
  

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