卓球迷宮地下1階

~貼ったり はがしたり また貼ったり~

カテゴリ: 卓球個人事情

ラバーの重量 メーカー別です
別名 恥ずかしい記録

重量 

ラバーの重量別です

 重量別

 「物語は風呂敷を広げているときが面白い」と言っていたのは夢枕獏だったか。
 怪しく魅力的な人物が次々と登場し、 胸躍る伏線が張り巡らされていき、様々な因縁が絡み合ってドラマが動き出す。結末を知っている書いている本人ですら、次はどうなるのかワクワクしながら書いているのが伝わってくる。
 ところが結末に向かって物語が収束し出すと、大きく広がった風呂敷を畳むことに精一杯で、途端にスケールダウンしていく。読者も肩すかしを食らってがっかりだが、多分作者も必死なだけで楽しんではいない。それでも最後まで書き切れれば良い方で、途中で投げ出されたまま放置のケースもある。
 ベクトルを保ったまま最後まで仕上げることが出来るのがプロの作家だということだろう。
 
 卓球の用具で言えば、とすぐに卓球の話にしてしまうのだが、与えられた用具から次のステップに移行する辺りが一番ワクワクしていた。
 メーカーのカタログを見れば魅力的な製品が並び、ネットで調べれば心躍る試打動画の数々。卓球王国の新製品紹介ページに胸ときめかせ、WRMの繰り出す蠱惑的な宣伝文句に心かき乱された日々。失敗しないように一生懸命下調べをして、国際卓球のセールでラバーを買った時の高揚感。
 そのうちカタログスペックだけで自分に合う合わないくらいは分かるようになってくると、当初のドキドキ感も薄れてきて、以前ほど熱心に新製品を追わなくなってくる。
 その状態になってからも探求をやめないのが用具マニアだろうか。

 用具だけでは無い。技術も同様で、最初はミスばかりだったラリーが続くようになり、ツッツキの感覚を手に入れ、ドライブが打てるようになると練習も楽しくなってくる。
 技術動画を見て研究し、個人レッスンに通って指導を仰ぎ、卓球教室で技を披露して得意げな顔をする。
 他の人と試合をするようになり、それっぽいサーブも出せるようになって、勝ったり負けたりしている段階が楽しい時期なのかもしれない。
 そこから上の段階、つまり試合に勝ってより上位の大会を目標とし、大会に参加するだけでは無く優勝を目指して練習を積み重ねるようになると、楽しいだけではやっていけなくなる。
 ギチギチと肉体と精神を締め上げて、試合当日に最高のコンディションになるように調整し、それでも敗北したときはメンタルがボロボロになり、そこからまた這い上がって次の大会に向けて練習を再開していく。
 それが競技者というものだろう。 

 いつまでも風呂敷を広げ続けるような、そんな卓球ライフを送りたい。
  

 俺は今走っている。
 何で走っているかだって?
 それじゃお前に聞くけど、目の前に見たことの無い飛行物体が大挙して現れたらどうする?
 飛行物体とか勿体ぶって言ったけど、つまりはUFOだ。
 そりゃ走って追いかけるだろう。
 右も左も前も後ろも同じ考えの暇人共が息を切らせて走っている。
 おっちゃんもおばちゃんも学生もサラリーマンもご隠居もみんなだ。
 気がつくと俺たちのすぐ上を飛んでいたUFOが段々高度を落として着陸態勢に入っている。
 おっと自己紹介が遅れた。
 俺の名前は貴絽良介。
 高校生、卓球部員、補欠、恋人募集中。
 以上。
 間近に迫ったUFOのうち、一番大きいヤツがぴかぴかと光り始めた。
 一体何だと思う間もなく垂直に降下しだして、目の前に着陸しやがった。
 まあ本来なら色々描写しなくちゃイケないんだけど面倒なので省略ね。
 UFOが着陸してハッチ見たいのがぱかっと開いて、内側が光で溢れているよくある映像を思い出してくれ。
 そんでもって光の中から人影?が二つ降りてきたんだ。
 俺も周りのみんなも目を凝らして見てたね。
 危険を感じなかったかというともちろん感じていたさ。危険より興味が勝っただけだ。
 いわゆる野次馬根性というヤツだ。
 そうこうしているうちに降りてきた宇宙人がどんな姿か見えるようになってきた。
 2人に内ひとりは銀色のフィットしたウェアを着ている恰幅の良いおっさん。
 もう1人は、同じ素材のウェア、ただしビキニ姿のグラマラス美女。
 どちらも地球人と変わらない気がするけど、よく見りゃ額に角が生えている。
 逆に違いはそれくらい。一見ね。
 当然オッサン宇宙人なんかに興味は無い。
 セクシー美女宇宙人を食い付くように眺めていたさ。
 この頃になると取材の記者やカメラマンがワンサカと集まってきて、騒然としていたね。
 何が始まるのかと思ったらオッサン宇宙人が拡声器を取り出して喋りだした。
 「地球の皆さんこんにちは。私たちは遠くの星から来ました。そして今からこの星は私たちの所有物になります」
 一瞬何を言っているのか分からなかったが、ようは地球を占領しに来たらしい。はるばる遠い星からご苦労なことだ。
 「そうは言っても皆さんも納得できないでしょう。それで私たちはあなた方にチャンスを与えようと思います。私たちとある競技で勝負をしてもらいます。その勝負に負けたら私たちは大人しく引き下がります。もし私たちが勝ったら7時間以内に全ての国を破壊します。地球人は9割以上死にます。」
 「その競技とは何だ」
 人混みの後ろから同じように拡声器を通した声が聞こえてきた。
 聞き覚えがある。地元の市長だ。
 「あなた方の言葉で言えば 卓球 です。こちらの代表は横にいる娘です。あなた方の代表を一名選出して下さい。試合会場はここ、試合開始は明日のこの時間です。それではお待ちしてます」
 一方的に喋って宇宙人達はハッチの内側へ消えてしまった。
 何だ卓球って。
 なぜ卓球で勝負なんだ。
 宇宙人のすることはさっぱり分からない。
 どちらにしても俺には関係ない話だ。
 見る物も見たし家に帰るとしよう。
 再び上昇しだしたUFOの大群を背に帰路についた。


 ボロアパートに着いたら驚いたね。
 市の職員が2人待ち構えていて、地球人代表に選ばれたから明日の勝負に出ろとかぬかしやがる。
 もちろん俺は断った。 
 だいたい選出理由がネットで検索っていうのがおかしい。
 そりゃTwitterじゃ偉そうなことを散々書き散らしていたかもしれないけど、実力とは関係ないだろ。
 でも結局は出ることになった。
 あのセクシーな美女宇宙人を間近に見たいってのもあったし、勝っても負けても地元の大学に入れてくれるってのが決め手になった。
 
 あっという間に試合当日。
 対戦相手の美女宇宙人は、昨日と同じ銀色のビキニを着ている。
 額の角は気にならないが、他の部分が気になって気になって仕方が無い。
 もはや反則だろ。
 試合の内容はクドクド書かない。
 読んでもつまらないだろ。
 最終的に勝ったのは俺だ。
 卓球の腕前では全く敵わなかったけど、前日に考えた作戦、「ビキニの紐を狙ってスマッシュ」が見事に決まったのさ。
 おちそうな水着を抑えながらじゃ本来の実力も発揮できないだろう。
 とにかく勝ったのは俺。
 大学入学を勝ち取り、ついでに地球も救ってやった。
 美女宇宙人(名前はアムとかそんな感じの発音)は悔し涙を浮かべていたけどね。

 その後平凡な日常に戻ったのかと思いきや、何故か俺のことを気に入ったアムが俺と同じ高校に入学してきて、他の宇宙人まで巻き込んで、卒業までなんやかんやと騒動が続いた。
 俺は楽しかったけどね。
 
 さてここまで読んで、あの有名なマンガのパクリとか思ったヤツ、手を上げて。
 違うから。
 この話は本当にあった事だし、むしろこっちがオリジナルだから。
 俺の体験談を聞いて、インスパイアされたのがあっちだから。
 以上。
 
 
 
 
 
 
  

もう これが最後だと 呟いて
何度も 何度も 繰り返す仕草
新しい 出会いでも もう怖くはないから
その手を 指先を カーソルにのせ
繋がっている 誰かの所へ 届けよう この思いを
さあ ボタンを 押して 
カートに 入れて
いつものように
弾くように あの秘密のコードを 入力したなら
きっと すぐにでも 届くはずさ 
大切な ラバー 
大事にするよ



作曲者募集中 あと 2番の歌詞

えー、病は気からと申しますが、今回の新型コロナばかりはそうはいかないようでして、どんなに気合いを入れてもかかるときはかかる、かからないときはかからない。そもそもかかっているのかいないのか、それすらはっきりしないという、真に困ったことでございます。
ゴホンと咳すりゃ新型コロナ、熱でふらっとしたら新型コロナ、なんでもかんでも新型コロナに思えてくるんですな。

「 どうした、顔色悪いな」
「朝起きたら頭が痛くて吐き気がします。新型コロナに間違いありません」
「君昨日相当飲んでたよね?二日酔いだよね?」
「やっぱりコロナビールがマズかったようです」

なんて会話がそこかしこでね、交わされているようでありますな。
さて、こういう流行病もね、決して今だけの物ではありません。当然昔から姿形を変えて何度も庶民の暮らしを脅かしていたんですね。もちろん同じようなことは、江戸の昔にも、ありましたよ。

「六兵衛、最近あっちのほうはどうだい」
「分かりきったこと聞くねえ。全然ダメよ全ダメよ。卓球のタの字もありゃしねえ」
「おめえの所もそうかい。流行病で外出禁止。卓球なんかできねえよなあ」

流行病の最初のころは、何だかんだと練習できてはいたものの、ここまで来ちゃあどうにもならない。
卓球好きの六兵衛も、この頃は諦めて大人しくしていたようです。

「あーああ、卓球してえなあ」
なんてぼやきながら狭い長屋の一室でラケットを撫でるのが精一杯。 
その内撫でているだけでは我慢できなくなってきた六兵衛、どこからかピンポン球を取り出し、カンカンカンカン、ラケットの上で球突きを始めました。

「思いっきり打ちてえなあ、こうスマッシュをドカーンとよ」
当てる振りしてフルスイングしたつもりがピンポン球に見事命中。球は壁に向かってすっ飛んでいきました。
バシーンと大きな音を立てて跳ね返ります。何しろ長屋の薄い壁です。厚さなんて紙みたいなもんです。近所迷惑にもほどがあるってもんです。
ところが当の六兵衛は落ち着いています。落ち着いているのは理由があって、隣の孫四郞一家が引っ越してからだーれも住んでいないのを、六兵衛はもちろん知っていたからなんですね。
「俺の必殺ドライブを食らいやがれ」
なんて言いながら遠慮無くバシバシ壁に向かって打ち始めました。
「おらフォア前ががら空きだぜ。お次はミドル、そしてもう一度フォアだ」
ぶつぶつ呟きながら、しばらく執念深く打ち続けていたら、おかしな事に気がつきました。

六兵衛が打つ。
球が壁にぶつかって跳ね返る。
球が戻ってくる。

その壁にぶつかる音のちょっと後に、コン、といかにもラケットで打ったような音がするような。
コンと打てばカン
バシッと打てばコンッ
まるでラリーでもしているかのような絶妙なタイミングで、壁の向こうから聞こえてくる音。
最初は気味悪がっていた六兵衛も、すっかり調子が出てきて、壁を相手にサーブ、レシーブ、対下回転打ちドライブ、などなど、いつしか試合をやっている気分になって、勝手にスコアまでつけ出す始末。
「よしこれでテン ナイン。次が決まれば俺の勝ちよ。そりゃ、得意のYGサーブとくらあ」

コンっと壁の向こうから

パシーンッと六兵衛

コンっと壁の向こうから

バシンと六兵衛

大げさなフォームでカーブドライブを壁に向かって打ち込むと、それっきり壁の向こうからの音は途絶えました。
「やったぜ横入れドライブ! エッジボールだが得点は得点だぜ。と言うわけでイレブン ナインで俺の勝ち。ざまーみろい。」

壁に向かって言い放つと、満足げに畳に横たわってしまいました。
息を整えながらなおも横たわっていると、ドン、ドンと壁を叩く音が聞こえてくるじゃありませんか。
誰もいないはずの隣の部屋からですよ。
ちょっぴり気味悪くなってきた六兵衛でしたが、そこは見栄っ張りの江戸っ子。
「うるせえ、俺の勝ちだ。文句有るなら直接言いやがれ」

そうするとドンドンという音はぴたりとやんで、かわりにぼそぼそとささやくような声が。

「小さくて聞こえねえ」

「・・・・・」

「聞こえねえって言ってんだろ。大きな声で言え」

するとみるみるうちに視界が暗くなり、真冬のように気温が下がり始めたんですね。
ブルブル震えながらキョロキョロ辺りを見回していると、追い打ちをかけるよに、地の底から響くような低ーい声が壁の向こうから

「・・・今のはサイドボールだぞ」





 

 新型コロナの影響で暇な息子が練習相手になってくれるのは助かる。
 狭い部屋の中でニッタクのコンキンメソッドテーブルという小型の台での練習だが、できないよりは100倍も良い。コンキンメソッドテーブルは、価格50000円くらいするが、セパレート、折りたたみ、軽量、省スペース収納、ニッタク製と、長く使えるのなら買う価値はある。

 靴はおろか靴下も履けないので、コロナ収束後に練習再開したとき裸足でないと動けないかも。
 台を置いているのはリビングと和室の間。
 引き戸を全開にして部屋をまたぐように置く。
 ソファーは引きずってどかし、座卓は壁際に寄せる。
 球が入りそうな隙間は座布団やクッションでふさぎ、音がもれないように戸締まり。
 天井が低いので蛍光灯が眩しいが、慣れれば大丈夫。
 リビングと和室、両方つけるか両方消すかしないと明るさのギャップで球が見えないから注意。
 ネットは安いおもちゃので十分。正式なサイズでは無いのでこういうタイプで無いとむしろダメ。
  zlz19-1008-1











 和室で動き回るとイグサが抜けて畳がボロボロになるのは注意。
 リビングのカーペットも急な動きをするとずれて危ない。
 つまりフットワーク練習には向いていない。
 一番必要なのは卓球に理解のある家族。これが難易度高いかも。
 
 本日の練習で息子にスマッシュの見本を見せていたところ、正面の障子に大きな穴が・・
 障子よりカーテンの方が良いであろう。
 
 卓球のスイングは想像しているより場所を必要とする。
 壁、窓、家具からできるだけ距離をとり、球が当たって倒れるような花瓶などは置かない方が良い。
 
 そして練習が終わったら全ての配置を元通り、にする前に使用した場所を掃除機でキレイにする。
 家の中で練習するとむしろ部屋がキレイになる。
 家族の平和のためには、こういう状況が大事であろう。
 
 
 
 
 



 「小学生のころは良かったな」
 思わず僕は声に出す。
 小学生まではピンポン球もプラスチック製で、当たっても痛くないし、何より重くて動きにくいアーマーを身につけなくてもいいのだから。
 中学生以上が使用するピンポン球は鋼鉄製だ。
 直撃すれば骨折では済まない。
 当然ラケットも木製じゃない。
 紙より薄い特殊合金を幾層にも重ねた特殊素材ラケットだ。
 鋼鉄と鋼鉄がぶつかり合うと、火花が凄いのでゴーグルも必須。 
 分厚い手袋をしていても、インパクトの瞬間は脳天まで衝撃が走る。


 卓球台につくと、対戦相手の緑川がすでに待っていた。
 お互い目線を合わせず軽く拳を合わせる。
 いつものようにラケットの見せ合いをするが、何のためにやっているのか分からない。
 透明な強化プラスチックの向こうで主審が手を上げると試合開始だ。
 



 おじいちゃんの時代に流行っていた卓球と、僕たちがやっている卓球は基本的には同じだ。
 違うのは道具が進化してより攻撃力が増したのと、直接相手にぶつけてダメージを与える事が許されている点。
 現代卓球には、地道に得点を重ねるクラシックタイプ、台に張り付き相手の急所を狙ってノックダウンを狙う前陣カウンタータイプ、球がこちらの台に着く前にラケットで直接相手を攻撃するトッコウタイプなど、実に様々な戦型がある。
 今流行っているのはカウンタータイプとトッコウタイプのハイブリッド型で、もちろん僕もハイブリッド対応のグリップが伸縮するラケットを使っている。
 今年の春出たばかりの新モデルで、グリップの長さが3m以上伸びる伸縮性能と、打球時にもしならない剛性を併せ持つ。

 試合開始と共に高くて遅いループドライブを打つ。
 昔と違ってサーブなどない。
 そして相手が打球する前にグリップを伸ばして急所の喉や胸を攻撃する。
 今回の相手はトッコウタイプなので、ノンビリとピンポン球を待ってなどいない。
 腕につけた籠手で急所をかばいながら、一気に台を飛び越えてくる。
 試合前に見た、ゴツくて重量感のあるラケットが目の前に迫る。
 伸ばしかけた右腕を無理矢理戻して、ブレードの先端で弾く。
 肩から砕けたかと思うような衝撃。
 喉まで出かかった呻き声を強引に飲み込み、カウンターのスマッシュを、がら空きの喉元に向かってぶち込む。
 恐怖に引きつった緑川の口元が視界の端をかすめた。
 コンマ数秒の攻防。
 卓球は練習で身につけた予測能力と反射神経が物を言う競技だ。
 それだけは今も昔も変わらない。
 
 瞬きする内に緑川は自陣へ戻っている。
 ピンポン球が台を噛む鈍い音が鼓膜を振るわせる。
 そのバウンド直後を捉えたラケットが鈍色の光彩をまき散らしながら視界を斜めにぶった切る。
 緑川の得意なライジングカウンターだ。
 考えている暇など無い。
 意識してからでは遅い。
 視覚情報を無理矢理右腕に直結させてラケットで急所を守る。
 こういう場合人中、喉仏、水月を狙うのはセオリーで、逆に言えばここさえ守れば何とかなる。
 ブレードで人中と喉仏、50cmに伸ばしたグリップで水月を防御。
 残念。
 緑川の狙いは左のこめかみだった。
 アームストロング製のAI搭載メットがマイクロミリ秒単位のやりとりで衝撃を分散させる。
 それでも首から上が消し飛んだと錯覚を覚えるほどのダメージだ。
 
 刹那のブラックアウトが点数に結びつく。
 硬直した僕のプライドをなぎ倒し、ピンポン球が床にめり込んだ。

 「ラブ ワン」

 得点を読み上げる合成音声が頭蓋骨内部でワンワン反響する。
 
 なに、試合は始まったばっかりだ。
 肉体的にはともかく精神的なダメージはほとんどない。
 僕は右だけ長い犬歯を見せつけるように口角を上げ、ピンポン球を目線の高さに上げる。
 拝むようにラケットを掲げながら、緑川が薄茶色いゴーグルの向こうで目を細めるのが見えた。
 四方から刺さる青白いスポットライトが僕たちの周りをグルグルと回り始める。
 銀色のラケットとピンポン球に跳ね返った光線は、僕たちの眼球を通って脳髄を経由し口からゆるゆると溢れ出ていく。そうして左目と右目の真ん中で幾重にも重なった光輪が再び視界いっぱいに広がった。
 光輪の中でたくさんのお父さんとお母さんが笑っている。
 曼荼羅の端っこでは、妹の由希子もはにかむように微笑んでいた。

 僕も思わず微笑んだ。

 そこへは、まだ、行けない。

 僕は高くトスを上げた
 思い切り高く
 ただ、高く
 
 

  
 800px-Kongokai_81son_mandala
 
 
  

 昔はパソコンショップが怖かった。
 見当違いの質問をしたらつまみ出されそうな雰囲気の店ばかりだった。
 今は卓球ショップが怖い。
 何が怖いって、何を聞いて良いのか分からないのが怖い。
 「何かお探しですか?」とか声をかけられたらその場から逃げたくなる。
 本当は質問したい。
 「このラバーってどんなの?」
 「このラケットってどんな感じ?」
 曖昧なのだ質問が。
 だって他に聞きようが無い。
 調べによると、店員がされても困るNGワードがあるらしいじゃないか。
 「 このラバーは弾みますか?」
 「このラケットとラバーの相性はどうですか?」
 「このラケットはスピード速いですか?」
 まさにこれを聞きたいのだ。
 でもそれを聞いてもどうにもならないらしい。
 つい口にしてしまいそうで怖い。
 口に出したら店員がため息をつきそうで怖い。

 現在使っている用具、自分の技術レベル、どういうことをしたいのか、今の用具に何が不足していてどういう性質を用具に求めているのか、きちんと説明しなくてはならないのだ。
 
 「手前、いたって不調法、あげますことは前後間違いましたらご免なお許しを蒙ります。手前、生国は武蔵野国は春日部でござんす。手前、縁もちまして親分と発しまするは辻丸一家二代目犬千代の若い者でござんす。姓名の儀声高に発しまするは失礼さんにござんす。姓は貴絽、名は良介と申す。しがないかけだしもんにござんす。今使っているラケットはスワットに両面マークVでござんす。もちろん厚、でござんす。いまだ試合で勝ったことは無いのでござんす。コーチからそろそろラバーをもう少し弾むのにした方が良いと言われてここを紹介されたので来たのでござんす。面体お見知りおきのうえ、向後万端よろしくおたのもうしやす 」

 こんなことほとんど面識も無い店員に流暢にぺらぺらと話せるか?
 

 新型コロナウィルスまっただ中だけど、皆さんお元気ですかね、って「新型コロナウィルス」が季語になりそうな勢いだな。
 毎週参加していた卓球教室が休講になり、たまに利用していた東京の卓球スクールもしばらく休業、餃子会の練習会も自粛ムードで行えず、何より楽しみにしているNetIn&EdgeBallClub練習会(つじまるさんとの練習)もダメ。
  練習できないとなると技術動画も見なくなるし、ネットショップを覗くことも減り、当然用具を買うことも(僅かに)減少。
 今のところ注文中なのはヘキサーグリップとヘキサーパワーグリップSFXという全く実用本位の2枚と、つじまる師匠にお願いしたPF4、エアロックM、木星と、これもお馴染みの奴らばかり。
 ラケットも1本注文中なのだがこちらは先方の都合次第なので、いつになるか分からん。

 卓球関連で今あるのは、全くラバーを貼ったことのない新品ラケットを撫で回したいという自分でもよく分からない欲求だけだ 。
 卓log会メンバーで集まってワイワイ練習したり、飲んで騒いでいたことが遠い昔の様な気がしてくる。
 
 そういえば酔った勢いで例の自作デザインTシャツをついに注文してしまった。
 自分で作っておいて何だけど、これは一体いつどこで誰が着るのだろうか。
 ネクタイ前赤jp


























 
 そうこうしているうちに各メーカーから興味深い新製品が次々に発売または発表されていて、ざっと思いつくだけでもラクザZ、ラザンターR48、なんとかPK50(これがどうしても覚えられない)、オメガ光、などなど。全て買うのは無理だけど、いつかは試してみたい。

 だいたい5月くらいになれば収束かなと楽観視していたが、それもどうやら怪しそうで、むしろ悪化している可能性すらある。
 このまま卓球が出来なかったら辛いなあ。
 卓球、飲み会、餃子、ラーメンと全て封じられてしまった今、楽しみと言えばもう一つの趣味のサイクリングくらいである。
 先日天気の良い日に息子と国営武蔵丘陵森林公園まで行ってきたんだけど、下調べせず成り行き任せのサイクリングだったので、適度に道に迷ったりしてかなり楽しかった。往復80kmくらいかな。
 2日後に今度は息子と娘をつれて川口グリーンセンターまで行って、川沿いが菜の花で黄色く染まっていてキレイで気分も楽しくなった。モンシロチョウが飛んでいて、蝶嫌いな娘は絶叫していたけど。
 
 これから寝坊している息子が起きるのを待って、リビングと和室の間に卓球台を置いて練習する予定。
 そろそろツッツキでも教えようかな。
 それではみなさんお元気で。
 

 
  

このページのトップヘ