卓球迷宮地下1階

~貼ったり はがしたり また貼ったり~

カテゴリ: 卓球個人事情

 昔はパソコンショップが怖かった。
 見当違いの質問をしたらつまみ出されそうな雰囲気の店ばかりだった。
 今は卓球ショップが怖い。
 何が怖いって、何を聞いて良いのか分からないのが怖い。
 「何かお探しですか?」とか声をかけられたらその場から逃げたくなる。
 本当は質問したい。
 「このラバーってどんなの?」
 「このラケットってどんな感じ?」
 曖昧なのだ質問が。
 だって他に聞きようが無い。
 調べによると、店員がされても困るNGワードがあるらしいじゃないか。
 「 このラバーは弾みますか?」
 「このラケットとラバーの相性はどうですか?」
 「このラケットはスピード速いですか?」
 まさにこれを聞きたいのだ。
 でもそれを聞いてもどうにもならないらしい。
 つい口にしてしまいそうで怖い。
 口に出したら店員がため息をつきそうで怖い。

 現在使っている用具、自分の技術レベル、どういうことをしたいのか、今の用具に何が不足していてどういう性質を用具に求めているのか、きちんと説明しなくてはならないのだ。
 
 「手前、いたって不調法、あげますことは前後間違いましたらご免なお許しを蒙ります。手前、生国は武蔵野国は春日部でござんす。手前、縁もちまして親分と発しまするは辻丸一家二代目犬千代の若い者でござんす。姓名の儀声高に発しまするは失礼さんにござんす。姓は貴絽、名は良介と申す。しがないかけだしもんにござんす。今使っているラケットはスワットに両面マークVでござんす。もちろん厚、でござんす。いまだ試合で勝ったことは無いのでござんす。コーチからそろそろラバーをもう少し弾むのにした方が良いと言われてここを紹介されたので来たのでござんす。面体お見知りおきのうえ、向後万端よろしくおたのもうしやす 」

 こんなことほとんど面識も無い店員に流暢にぺらぺらと話せるか?
 

 新型コロナウィルスまっただ中だけど、皆さんお元気ですかね、って「新型コロナウィルス」が季語になりそうな勢いだな。
 毎週参加していた卓球教室が休講になり、たまに利用していた東京の卓球スクールもしばらく休業、餃子会の練習会も自粛ムードで行えず、何より楽しみにしているNetIn&EdgeBallClub練習会(つじまるさんとの練習)もダメ。
  練習できないとなると技術動画も見なくなるし、ネットショップを覗くことも減り、当然用具を買うことも(僅かに)減少。
 今のところ注文中なのはヘキサーグリップとヘキサーパワーグリップSFXという全く実用本位の2枚と、つじまる師匠にお願いしたPF4、エアロックM、木星と、これもお馴染みの奴らばかり。
 ラケットも1本注文中なのだがこちらは先方の都合次第なので、いつになるか分からん。

 卓球関連で今あるのは、全くラバーを貼ったことのない新品ラケットを撫で回したいという自分でもよく分からない欲求だけだ 。
 卓log会メンバーで集まってワイワイ練習したり、飲んで騒いでいたことが遠い昔の様な気がしてくる。
 
 そういえば酔った勢いで例の自作デザインTシャツをついに注文してしまった。
 自分で作っておいて何だけど、これは一体いつどこで誰が着るのだろうか。
 ネクタイ前赤jp


























 
 そうこうしているうちに各メーカーから興味深い新製品が次々に発売または発表されていて、ざっと思いつくだけでもラクザZ、ラザンターR48、なんとかPK50(これがどうしても覚えられない)、オメガ光、などなど。全て買うのは無理だけど、いつかは試してみたい。

 だいたい5月くらいになれば収束かなと楽観視していたが、それもどうやら怪しそうで、むしろ悪化している可能性すらある。
 このまま卓球が出来なかったら辛いなあ。
 卓球、飲み会、餃子、ラーメンと全て封じられてしまった今、楽しみと言えばもう一つの趣味のサイクリングくらいである。
 先日天気の良い日に息子と国営武蔵丘陵森林公園まで行ってきたんだけど、下調べせず成り行き任せのサイクリングだったので、適度に道に迷ったりしてかなり楽しかった。往復80kmくらいかな。
 2日後に今度は息子と娘をつれて川口グリーンセンターまで行って、川沿いが菜の花で黄色く染まっていてキレイで気分も楽しくなった。モンシロチョウが飛んでいて、蝶嫌いな娘は絶叫していたけど。
 
 これから寝坊している息子が起きるのを待って、リビングと和室の間に卓球台を置いて練習する予定。
 そろそろツッツキでも教えようかな。
 それではみなさんお元気で。
 

 
  

 私の利用しているlivedoor Blogには、アクセス解析という機能があって、直近で読まれている記事を表示することが出来る。
 暇なときに眺めていると、こんな記事書いていたっけ?なんて発見もあって楽しいのだが、何で今更こんな記事が上位にくるのか不思議に思うときがある。
 例えば現在の順位を見ると、当然ながら最新記事がトップにきていて、後は我がブログ随一の有用記事であるラバーの重量リストが複数ランクインしている。
 そして今回目に付いたのがコンキンメソッドテーブルに関する記事


 それとこちらも


 普段はほとんどアクセスが無いのだが何故か6位にランクイン。
スクリーンショット 2020-04-05 22.58.51
 グーグルでの「コンキンメソッドテーブル」検索においてもこの記事の表示回数が30%ほど増えている。

スクリーンショット 2020-04-05 22.59.19

























 考えて見れば不思議でも何でも無い。
 新型コロナウィルスの影響で、外で卓球をすることが出来なくなった人々が、家の中に置くことの出来る台を探しているのだろう。
 Twitterかなにかでコンキンメソッドテーブルの存在を知った人が、グーグルで検索しているのかもしれない。

 だからどうと言うことの無い、ただそれだけの話である
  

 私は設定マニアだ。
 設定するまでが楽しく、設定が終わると熱も冷める。
 これでピンとくる方はお仲間だ。
 分からない方にちょいと具体例を書いておく。
 読めば、ますます分からなくなるかもしれないけどね。

 例その1
 自作PCの調子が悪い。
 早速設定マニアの血が騒ぐ。
 PCの状態を調べるソフトをあれこれ入れて原因究明。
 どうやらCPUの温度が高すぎて、ある一定の温度に達したときにおちてしまう。
 今はネットで何でも調べられるからね。
 効率の良いCPUクーラー調べて付け替えて、CPUも変えて、バイオスの設定いじって。
 原因は設置場所が狭すぎて空気の流れが悪かった、とかね。
 安定して動くようになったけど、他にメインPCあるからあまり使わなかったり。
 

 例その2
 憧れのPC110を手に入れたぞ。
 こいつにはフルパッケージのPC-DOSが付いている。
 だけども何だかDOSって面倒くさい。(いつの時代だ)
 MacやWindowsに慣れてしまっているから尚更だ。
 さあ環境構築だ。
 まずは使い易いファイラーを探さないとね。
 やっぱFDでしょ。
 環境変数がとか、パスを通してとか。
 おや、PCカードを挿すとWindows3.0を動かせるらしいぞ。
 各種ドライバーはネットの海から探すのだ。
 起動したときは感動したね。
 起動しただけで満足して飾っておくだけだったけどね。

 例その3
 流行のPDAを買ったぞ。
 PalmPilotだ。
 英語版しかないからこいつで日本語を扱えるようにするのだ。
 山田さんの作ったJ-OSを入れるらしい。
 動いたけどメモリーが足りないぞ。
 増設メモリーが29800円、だったかな。
 これで日本語ばっちり。
 データベースソフトもあるのね。
 それならマックのFileMakerと連携させて、とコンジットは有料なのか。
 Palmは延々と設定することがあるから楽しみも尽きないな。
 その後も何台も何台も新機種を買ったけど、いつものようにソニーが撤退して終了。
 未練がましくスマートフォンにPalmエミュを入れているけどね。

 例その4
 最近のスマートフォンは買ってそのまま使っても何の問題も無い。
 だからつまらない。
 設定させて欲しい。
 パソコンもそう。
 買ったらすぐに使えるくらい完成度が上がってくると、興味も失せる。
 単なる道具になる。
 特にiOSはそう。
 ジョブスの目指した世界はこれだったんだね。
 パソコンはブラックボックスにして中身なんかに興味を持たせない。
 提供されたまま使うのが正しい使い方。
 そりゃパソコン雑誌も無くなるわな。


 さてここで突然卓球の話。
 あれこれ用具を試す人は、私と同じ設定マニア、あるいは環境構築マニアかもしれない。
 ラケットもラバーも星のようにあるぞ。
 最高の組み合わせはどれなんだろう。
 山のように用具を買い込み、新製品が出たら買い、評判が良いと買い、その内海外にまで手を伸ばし、貼っては剥がし貼っては剥がし、打っては剥がし打つ前に剥がし、そして満足できる組み合わせを手にする。
 何という達成感。
 自分だけの最高の1本を手にしている満足感。
 そしてこう呟くのだ。

 これでやっと安心して、次の組み合わせを試せるぞ。
 
 
 
 
  

 卓log会という名を聞いた事があるだろか。
 ブログやTwitterで会員を名乗る人物がいたり、YouTubeで動画を投稿していたり、試合会場で卓log会のゼッケンをつけている選手を見かけることもあるかもしれない。
  公式ブログも存在しているがあまり更新されることも無く、立派な会員規約もあるが本当に機能しているか怪しい雰囲気もある。
 かくいう私も組織の末端に属しているが、果たして組織と言えるかどうか自信を持って言えない。
 決して秘密の組織では無いが故にむしろ誰も語らなかったし誰も知りたくも無かった卓log会の真実。
 そこに迫ってみることにしよう。
 卓球できなくて暇だし。 

・・・・・成り立ち・・・・
 発起人の「しろーと(現しろや)」が「つじまる」を練習に誘うが日程が合わず、「貴絽」と連絡を取って2人で練習をすることになった。同じ日にかねてより交流のあった「ナルコ」と「リン」が練習する事を知った「しろや」が連絡を取り、「しろや」「貴絽」「ナルコ」「リン」の4人で練習する事とに。
 4人の共通点は卓球ブログを書いていること。
 場所は高田馬場新宿スポーツセンターで、3時間みっちり練習をした後打ち上げなども無くそのまま解散となる。
 後日「しろや」「ナルコ」「リン」に加え「インデペ」「盈月」「つじまる」の6人で練習する事になり、練習後は飲み屋で盛り上がったらしい(貴絽は不参加のため各自のブログから)
 この練習会が成功したため、ブログを運営しているメンバーを集めて緩い組織として動き出すことになる。
 なおこの時点では組織名称は無かった。

・・・・名称決定・・・・
 当初はTwitterのグループメッセージを利用しての交流がメイン。
 2017年11月10日にグループ名がつけられる事を「リン」がメンバーに伝え、その日のうちに卓log会に決定。 
 討論に加わったのは「しろや」「ナルコ」「リン」「貴絽」「インデペ。」「つじまる」の6名のため、この6人を立ち上げメンバーとして規定しても良いかもしれない。特に意味は無いが。
 最終的な名付けの親は「リン」
 この辺の経緯は卓log会ブログに記載されている。
 

・・・・組織・・・・
 緩い同好会のような組織なので代表者や責任者、個々の役割が明確にされていない。
 ただし発起人である「しろや」が会長職をつとめていて、最終的な決定権は「しろや」にある、とされる。
 「しろや」が会長を降りたら組織として空中分解するくらいの存在。

・・・・主な活動・・・・
 グループメッセージを利用していつでも好きな時に出来る卓球話と、月に1度くらいの割合で行われる練習&飲み会が主な活動。
 当時WRM(ワールドラバーマーケット)に所属していた「はじめちゃん」を講習会の講師として招いたり、卓球王国編集部の「ゆうさん」を練習会に招いたり、メーカー提供の新作ラバーの試打会を行ったり。
 メンバーも徐々に増え「立野B」「まっぽっぽ」「SHUN」「卓球道」「シーザー」「ゆきち」が加わる。
 「しろや」の提案でオンライングループサービスのBandに移行。
 卓log会ホームページの作成も検討され、当初はライブドアブログで運営。その後はてなブログに引っ越して今に至る。ブログのデザイン、投稿などは「貴絽」が主に携わる。
 グループメッセージで侃々諤々の議論の末、チーム用ゼッケン、ユニフォームも作られる。
 この2018年が全体としては活発な活動をしていた。
 その後「ガッキー」「椎茸」が加わり「東山」「ため」「かく」も参加。


・・・・現状と今後・・・・
 中心メンバーであった「しろや」「リン」の学生両君が卒業&就職となり、主なメンバーは全員社会人に。
 卓log会結成から年月を重ねる内に就職、結婚、出産、引っ越、転職、など個々人の環境も変わっており、以前ほど頻繁に集まる事ができないのが実情。
 新メンバーは随時募集しているが、加入したからといって特に何も無いのであまり積極的な勧誘はしていない。
 
 詳しくは下記を参照

 
 
  

 いつもの路地裏に立てられた立て札を囲んで男達がざわめいている
 ラケットを手にぶらりとやってきた六兵衛が顔見知りの男に声をかける
 六兵衛「おう、どうした。練習やらねえのか」
 男その1「なんだロクか。脅かすねい。いいからこれを読んでみろ」
 六兵衛「読めったっておめえらが邪魔で見えねえじゃねえかどけよこの野郎」
 人垣に無理矢理入り込み立て札を見上げる六兵衛
 六兵衛「えーなになに、近頃新型孤路哭病流行につき市中での卓球を禁ず、って何だこいつは」
 男その1「馬鹿だなロク、つまり卓球はするなってことよ」
 六兵衛「馬鹿にすんじゃねえ、はっ倒すぞ。しかし練習できねえのは困ったな」
 男その1「全くお上もなに考えているんだか。卓球だけ禁じたってしょうがねえだろう」
 六兵衛「出来ねえと思うと尚更やりてえな。こっそりやりゃあバレねえんじゃねえか」
 男その1「ロク、おめえも考え無しだな。それこそバレたら。ブルブル、考えたくもねえな」
 六兵衛「畜生、どうにもならねえのかよ。」

 諦めきれない六兵衛。
 そんな六兵衛に別の男が声をかける
  
 男その2「いつまでも愚痴ってばかりいてもしょうがねえだろう。どうだい、ここは一つ卓球以外のすぽおつをやってみるってのは」
 六兵衛「おうそれだそれ。何も卓球だけがすぽおつじゃねえしな。他にはどんなすぽおつがあるんだい」
 男その2「例えばよ、若い娘っこに人気のばどみんとん、なんてのはどうだい」
 六兵衛「みんとん?聞いた事ねえな」
 男その2「知らねえのか。こうラケットの中をくりぬいて蜘蛛の巣みてえな糸を貼ってよ、羽をつけたピンポン球を打ち合う、あれよ 」
 六兵衛「あれかあ。俺はてっきり蝉でも捕っているもんだとばっかり。いまいちぐっとこねえな」 
 男その2「そうかい、ばどみんとんはダメかい。それならごるふはどうだ。裏のご隠居が夢中らしい」
 六兵衛「ごるふ?ああごるふね。あのゴボウみたいなヒョロヒョロした棒切れを振り回す。近寄ったら頭をかち割られそうになったぜあのじじい。どうも畑を耕しているみたいでぴんとこねえんだよな」
 男その2「色々うるさいね。それならどんなすぽおつなら良いんだね」
 六兵衛「そうさなあ、やっぱり大勢でやるのは好きじゃねえから一人で出来る方がいいなあ」
 男その2「じょぎんぐや遠泳か」
 六兵衛「かといって黙々と走ったり泳いだりするのも性に合わねえ。1対1、男同士の対決、ぐっとくるね」
 男その2「柔術とか剣術か」
 六兵衛「おっとっと、痛いのはごめんだぜ。怪我でもしたらおまんまの食い上げだ、かかあに殺されちまう。江戸っ子は気が短えからよ、相手が近いと喧嘩になっちまう。10尺くらいは離れたほうがいいだろうな」
 男その2「近頃蝦夷で人気の野球か」
 六兵衛「野球ってあれか、石だか岩だか硬え物を投げつけて、もっと硬え鉄棒でやりかえすやつか。あんな物騒なのは勘弁してくれ」
 男その2「段々相手をするのが面倒くさくなってきたね。どうやらお前さんの望み通りのは無さそうだ」
 六兵衛「いや、ある。あるはずよ。何だっけなあ。喉まで出かかってるんだがなあ」
 男その2「気になるね」
 六兵衛「お互い10尺離れてよ」
 男その2「ほうほう」
 六兵衛「木の板に柔らかいゴムを貼ってよ」
 男その2「ふんふん」
 六兵衛「小せえ柔らかい球を打ち合うわけだ」
 男その2「ん?」
 六兵衛「相手が取れなかったらこちらの勝ち。こっちが取れなかったら相手の勝ち」
 男その2「何だいそりゃ、まさか卓球じゃないだろうね」
 六兵衛「卓球! 違う、卓球じゃねえ。腰ぐらいの高さのテーブルでよ、真ん中に網を張って両脇から打ち合うのよ。テーブル、そうだ!  思い出した」

 六兵衛「That's table tennis.」
 男その2「良い発音だなあ。違う、そりゃ卓球だ」

 六兵衛「違うかこん畜生、ほらポンポン打ち合う、そうだ! 思い出した」

 六兵衛「That's ping-pong.」
 男その2「顔まで異人っぽくする必要あるのかい。同じだよ。それも卓球」
 
 六兵衛「そうか同じかこの野郎、上手く行かねえな。待てよ、そんなこたあお上には分かるはずもねえ。こりゃ卓球じゃねえピンポンだって言えば良いんじゃねえか。こりゃ良いこと思いついた。こうしちゃいられねえ。ちょっとピンポンしてくらあ」
 男その2「もう行っちまった。しらねえぞ俺は」



 いつもの長屋通りの路地裏
 卓球台の前で六兵衛が叫んでいる
 六兵衛「おーい、おめえら、ピンポンやろうぜピンポン」
 いぶかしげに男が近づいてくる
 男その3「ピンポンたあ何だい」
 六兵衛「おう、卓球は禁止だけどよ、ピンポンなら誰も文句は言わねえだろ。まあやってることは卓球と同じなんだがよ」
 男その3「卓球か。ありゃもう誰もやらねえな。今人気なのは別のすぽおつさね」
    六兵衛「何でい」

    男その3「那是乒乓球」
    六兵衛「………そりゃ卓球だろ!」
 
  

 場面その1・・買い物客で賑わっている鍋島横町

 日差しの強い往来を一人歩く六兵衛
 左右の店を冷やかしながら、楽しげに歩いている
 「なんでえなんでえ、流行病で景気が悪いなんてぬかしやがって源三の奴、たいそうな賑わいじゃねえか」
 一杯ひっかけているのかご機嫌な様子
 ふと足を止めて、店の暖簾をしげしげと眺める
 六兵衛「南蛮卓球用品あつかって〼 馬煮悪商会 うまにあく? まにあく? まあいいや、南蛮卓球用品の店たあ面白いね。おう、ごめんよ」

 場面その2・・店内

 店主「いらっしゃい、どうぞどうぞお入り下さい」
 しげしげと店内を見回す六兵衛
 六兵衛「なんだこりゃ、見たことねえラバーやラケットばかりありやがるな」
 店主「そうでしょそうでしょ、そんじょそこらじゃ手に入りませんよ」
 六兵衛「そりゃいいけどよ、こりゃ何て読むんだ?」
 店主「お、お目が高い。それは今人気の独逸らばあ、ぶるうふぁいやあじぇいぴいぜろわんたあぼ、ですよ。」
 六兵衛「ぶるうじぇいぴい、まあいいや。その横のは何て読むんだ」
 店主「へきさあぱわあぐりっぷえすえふえっくす、これも人気があるんですよね」
 六兵衛「へきさぱわあ?いいかげん長えな。読んでいるだけで疲れちまう」
 店主「それならこれはどうです。お隣清国で大人気のねばねばラバー狂猫」
 六兵衛「狂猫かあ、そいつは三軒隣の政吉の奴が使っていたなあ。ありゃ全然弾まねえんだよな。おい、もっと変わった奴はねえのか?」
 店主「お客さん、実はとっておきのがありましてね」
 六兵衛「何だ、あるならさっさと出せよ」

 店の奥から風呂敷に包まれたものを大事そうに持ってくる
 店主「 他言無用にお願いしますよ」

 六兵衛「嫌にもったいぶるな。気になるじゃねえか」
 店主「いえね、このラバー、元々は普通の狂猫だったんですよ。店の棚に並べていた普通のね」
 六兵衛「ほうほう」
 店主「 1枚2枚とぽつぽつ売れてはいくんですけど、どうしても最後の何枚かが残ってしまいまして」
 六兵衛「まあ、よくある話だな」
 店主「そうなんですよ。それでそのまま忘れてしまっていたんです。 ところがある夜売上げを勘定していたところ、狂猫の置いてあるあたりから変な気配がしてきまして」
 六兵衛「何だよ、怖えな」
 店主「 ふと気になって後ろを振り向くと、パッケージから猫の首が長ーく伸びていまして、脇に置いてある行灯の油をぺろぺろと」
 六兵衛「うわ、おっかねえ。化け猫じゃねえか」
 店主「 そりゃあもう恐ろしいのなんの。恥ずかしながら気がつくと私気を失ってまして」
 六兵衛「そりゃしょうがねえ。そりゃしょうがねえよ。 取って食われなかっただけ良かったじゃねえか」

 店主の肩を叩く六兵衛

 店主「ありがとうございます。それででしてね、気がつくと朝になってまして、慌てて狂猫のパッケージを見たんですけど、どう見ても今までと同じ何も変わっていないそのままだったんです」
 六兵衛「 不思議なこともあるもんだな・・・まさかお前、その風呂敷の中にあるのが・・」
 店主「 そうです。その狂猫です。見ます?」

 怯えて後ずさる六兵衛

 六兵衛「いや、怖いわけじゃねえけど、やめとくわ。怖いわけじゃねえけど」
 店主「そうですか。残念です。 そうそう、実はこの話をあるお侍に話したら、そのお侍さんおもしろがって買っていったんですよ」
 六兵衛 「物好きもいるもんだな」
 店主「 それで早速昨日の御前試合で使ったらしいんですけど、普通の狂猫より良く弾むし回転もかかると大変喜んでまして。どうもほんの少し、ラバーのスポンジが油を吸って膨らんでいるとかいないとか。化け猫が舐めた行灯の油に違いないと笑ってましたね。さてお客さんどうします?これがその狂猫の最後の1枚なんですけど」
 六兵衛「買った!」 

 場面その3・・試合直前

 審判「それではラケット交換して下さい」
 六兵衛「あいよ、ほれじっくり見やがれ」
 相手選手「ふむふむ、うん? ロクさん、あんたのラバーやけに反り返っているけど、まさかあんた使っちゃイケないものを使ってるんじゃあ無いだろうね」
 六兵衛「何だとこの野郎、俺がいかさまをしてるっていうのか。ふざけるんじゃねえ」
 相手選手「審判、これを見てくれ。このラバーは違反接着剤か違反増強剤を塗っている疑いがある。調べてくれ」
 六兵衛「なんだと、ちょっと待ってくれ。これは違反なんかじゃねえ。ちょっと油が」
 審判「油?」
 六兵衛「だから、違反増強剤とかそういうあれじゃなくて」
 審判「・・」
 六兵衛「首を伸ばした狂猫のお化けがよ」
 審判「・・」
 六兵衛「こう、行灯の油をペロペロ舐めて」
 審判「・・」
 六兵衛「その油がラバーのスポンジにすうっと染みこんで」
 審判「・・」
 六兵衛「それで良く弾んで回転がかかるようになるっていう」
 審判「はい失格」

  

 ナルコさんときっちり練習した後、ハチ公前でつじまる師匠と待ち合わせ。
 ところがいくら探してもつじまる師匠が見つからない。
 二手に分かれてハチ公の周りをぐるぐる見て回るが、それらしい人影が無い。
 メッセージを送ると、信号の側にいるとの返事。
 信号って、どの信号?

 
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大都会 渋谷のイメージ

 
 コロナ騒動で皆マスクしているから全然分からん。
 オヤジ狩りやチーマーがその辺の暗闇に潜んでそうで怖いんだよ。
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オヤジを狩る直前 イメージ

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悪だくみ中のチーマー イメージ
 


 ナルコさんが無事つじまるさんを見つけ出したときは心底ホッとした。
 
 3人揃って渋卓を目指す。
 こういう都会でのナルコさんは実に頼りになる。
 すぐに迷子になりそうな私やつじまるさんを引き連れてグイグイ歩く。
 ナルコさんは都会の人らしく歩くのがめっぽう速い。
 ぼやぼやしていると置いてけぼりになりそうで、必死に付いていく私。
 手でもつないでもらえば良かったか。


 何年ぶりかの渋卓は、リニューアルしたのかすっかりおしゃれになっていた。
 どの台もうら若き女性で溢れていて、華やかで楽しそうである。
 もちろんちっとも羨ましくなんか無いし、俺たち仲良し3人組に女性の入る余地なんか無いし。
 
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 卓球台は立派だが、いかんせん狭い。
 ちょっと強く打って球が逸れると、お隣の楽しげな若いグループの邪魔をしてしまう。
 天井も低いし、通路も狭いので、油断していると料理を運んでいるスタッフの頭をスマッシュしてしまいそうだ。
 ここは大人しく備え付けのラバー貼りラケットで遊ぶとしよう。
 
 
 渋卓は単なる卓球場では無く、飲み食いしながら卓球で遊べるのが売りなので、飲食も充実している。
 流行のタブレット端末でポチポチ注文すると、スタッフが運んできてくれる。
 実に手軽だ。
 問題は飲み食いするスペース。
 ベンチのような物があるので座る場所はあるが、3人横並びでは話も出来ない。
 そもそも酒やつまみを置くスペースが小さい。
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 ビール瓶3本が精一杯の、オマケ程度の台を囲んで乾杯をする。
 飲んで、食べて、手が空けば卓球。
 これの繰り返し。
 これが結構楽しいのだ。
 もっとも酒が進むにつれて卓球はどうでも良くなり、本格的に腰を据えて飲みたくなってきたが・・

 1時間30分などあっという間にすぎる。
 30分1000円とお高いので長居は禁物だ。

 アルコールを摂取しながら運動をした結果、少ない酒で効率よく酔っ払った我々3人のほろ酔いダンディたちは、これまた若者でいっぱいのマクドナルドでハンバーガーをパクつき、しばしの余韻に浸るのであった。
 
 
 
 
  

 五感から呼び起こされる感情の記憶がある。
 自転車をこぎながら受ける風の強さや都心の交差点で信号待ちをしているときのエンジン音、夏の暑い日に近所の家から漂う醤油だしの香り、田舎饅頭を口にしたとき舌の上に残る重曹の苦み。
 日常的によくあるそうした何気ない刺激が、普段は意識していない感情の記憶を呼び起こす。
 特別な記憶では無い。
 むしろ当たり前の、時間も場所も定かでは無い、霞のかかったような記憶だが、何故か鮮やかな感情へ結びついている。
 それは物心も付かぬ幼い日の記憶もあれば、つい最近経験した記憶の場合もある。
 
 ある特定の場所も引き金となり得る。
 その場所を通り過ぎるとき、楽しかった記憶、楽しいことが待っているという期待感、そういった感情が心の奥底から湧き出て、理由が分からず混乱するときがある。
 なぜこんなに幸せな気持ちになるのか。
 どうしていつもここに来ると嬉しさでいっぱいになるのか。
 
 
 ちょっと前までは、家族3人で卓球を楽しんでいた。 
 今は部活を引退してしまった娘と、体が不調で練習から遠ざかっている妻。
 練習場所は公民館、コミュニティセンター、体育館、公園の卓球場、この4カ所だった。
 その時はあまり意識していなかったが、夫婦や家族で卓球で遊ぶことがよほど楽しかったらしい。
 他の用事であっても、上記のような場所に向かう道に出ると、薄暗い公民館で遊びながら練習したことや、娘と二人で何台も台出しをした体育館、まだ始めたばっかりでまともに打てなかった私と公園の卓球場で打ってくれたときの妻の表情などが、つい昨日のように蘇る。
 卓球のことを思い出すのではなく、楽しかったという感情だけが蘇るときもある。
 なぜこんなに楽しく幸せな気持ちになるのかと不思議になり、あれこれ記憶を遡った結果、そうか卓球の記憶だったかと思い至る。
 公民館の予約をするために、早朝から自転車をとばしたことや、毎回先着争いをしていた男性と競争になったことや、結局予約を取れずにガッカリして帰宅したことも、今となっては楽しかった記憶として残されている。
 実際に練習したことより、練習に向かう時の事を良く覚えていて、それは今でも変わらない。
 これから卓球の練習をするぞ、という幸福感はなかなか他では得がたいものだ。
 

 そういうわけで、公民館へ続く曲がり角に立つと、いつでも私の顔は自然とほころんでしまうのだ。



 先日書いた話にはいくつかのパターンのオチを考えていた。
 せっかくなので、ボツになったオチも書いておく。
 元の話を読んだ上で、好きなオチを選んで欲しい。


 パターン1 パロオチ

 場面その4・・・お富「やめろだと?やめるわけないだろ。これはね、ラケット代わりに売られた着物の分」
 六兵衛「ぐは」
 お富「これはピンポン球代わりに割られた卵の分」
 六兵衛「ぼへ」
 お富「そしてこれはヤムチャの分だ!!!!」
 六兵衛「誰だよヤムチャって」 

 
 パターン2 快楽オチ

 はげしく球をぶつけられてうずくまる六兵衛。
 そんな六兵衛に容赦なく球が降り注ぎます。
 激しい痛みを我慢している六兵衛に、今まで味わったこの無い不思議な感覚が芽生えるのでした。
 激痛が倒錯的な快楽へ変わるとき、六兵衛の背中からつま先にかけてぞくぞくするようなエクスタシーが走り抜け
 六兵衛「勝手なナレーション入れるな」

 パターン3 不条理オチ 

 六兵衛「もう体がもたねえ、早くオチを、オチを言ってくれ」
 お富「なんだいオチって。ふざけるんじゃ無いよ。これは現実さね。まあ、もっとも、あんたはどこまでも堕ちていくけどね」
 六兵衛「なにこれすんごく怖い」 
 

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