卓球迷宮地下1階

~貼ったり はがしたり また貼ったり~

カテゴリ: 卓球日誌

 いつもの卓球教室でのこと。
 最後の30分間はゲーム練習となった。 
 4人一組になり総当たりで試合形式の練習をするのだ。
 適当に分けられたグループの中に、かなり高齢の男性がいた。
 ここでは仮にNさんとする。
 元々70歳くらいが平均年齢の教室なのだが、Nさんはちょっと不安になるくらいの外見の方だった。
 後から思い返してみたら、何回か打ったことのあるのだが、その時はすっかり忘れていた。
 
 最初は女性と試合をして、とりあえず勝ち。
 次は勝った人同士の試合なので、Nさんの対戦相手である女性と打つのかと思っていたら、勝ったのはNさんだった。
 意外な結果に驚きながら、早速試合開始。
 強く打ちすぎないようにしようとか、サーブは単純なのにしようとか、いらぬ気遣いばかり考えていたら、あっという間に試合が進み、いつのまにか0対10で私が負けている。
 サーブはほとんどバック前で、下回転のような上回転のような球が来る。
 ツッツキをすると浮くので上回転なのだろうが、下回転のように見えるのでたいていレシーブミスをする。何とか返しても厳しく打たれて、だんだんと後方に下げられ、最後はコースをつかれて終わり。
 なんか普通に上手いよNさん。
 まさか1点も入らないまま終わってしまうのだろうか。
 練習とはいえ焦ってくる。
 そして運命の一球。
 Nさんのサーブがネットミスで1対10。
 辛くもラブゲームは免れたのだが、そこで私ははっと気がついた。

 これか!
 これが噂の謎マナー、暗黙の了解というやつか。
 こんなの、嬉しくなんか、ちっとも、
 いや、
 どうなんだろう。
 本当にミスしたのかもしれないし、とりあえず1点入ってホッとしたのは事実だ。
 あまりにもさりげなかったので違和感は無かった。
 試合慣れしているというか、さらりと流してすぐにサーブの構えをしている。
 外見で判断してはいけなかったのだ。
 卓球教室でも上位に位置する強者だったのだ、あのじ、お方は。
 
 
 当然のようにこのゲームを落とした私は、次のゲームは情け容赦なく強打を打っ(てはオーバー)、えげつないサーブをフォアにバックに(ミス連発)の大活躍をして、取ったり取られたりの拮抗した好勝負を、around80のNさんと繰り広げ、10対10からデュースに突入。
 盛り上がる観客の歓声(の幻聴)を背中に受けて、11対11,12対12、13対13、最後は14対14となり、お互い体力の限界を感じながらラケットを振り続けた。
 そして最後は2連続得点のNさんが勝利を収め、潔く負けを認めた私は自ら歩み寄り、右手を差し出した。
 「熱い試合、ありがとうございます。」
 と言ったような言わなかったような・・

 それにしても、ある程度年を召した方で日ペン使いは本当に上手な人が多い。
 単純な球の速さや威力はこちらが上でも、総合的な卓球力ではたいてい負ける。

 目標とする平日昼間の体育館の帝王の座は、まだまだ遠いなと思った。

 

 卓球教室に行ってきた。 
 いつもの健康卓球教室ではなく、短期集中型の卓球教室なのだが、設置された全ての台に先生がつくという大変豪華なシステムで、もうそれだけで行く価値がある。
 今回は第一回目ということでフォアとバックとツッツキという基本3点セットを教わった。

 順番待ちの間は生徒同士で打つ。
 私の台には全くの初心者はいなかったが、私を含めて似たり寄ったりのレベル。
 それほど緊張することも無く練習できた。

 このレベルの教室ではいつも感じるのだが、ほとんどの初級者はバック打ちに苦手意識を持っている。
 たいてい同じようなフォームというか打ち方というか、ラケット角度というか、似たようなスイングをする。スイングと言うより、当て方であろうか。
 共通しているのはラケットが立っていること。
 前進回転が強くかかっている球に対しては当てるだけで返球できるのでラリーが続く。
 いわばブロックのようなものだ。
 回転がかかっていなかったり、勢いが無い球に対しては、自分から力を伝えられないのでネット直行。
 強く打とうと思うとプッシュのように押し込むので、打った瞬間からネットにかかると分かる直線的な球になる。
 
 なぜこういうことになるのだろうか。
 
 永遠の初級者、卓球教室のプロ生徒、など数々の称号を持つ私には明白である。
 
 なんか卓球って、手首を使ってはいけない雰囲気がある。
 フォア打ちでもバック打ちでも、手首を使うとめざとく注意される。
 こうした経験から手首を使うのは良くないとインプットされる。
 こうなると雰囲気と言うより呪縛である。
 確かに手首を使うとコントロールが悪くなるが、全く使わないというのも不自然で、かたくなに使わないようにするとやけに硬い動きになる。
 もちろん手首をこねくり回した方が良いといっているのでは無く、手首を含む関節を柔らかく保った方が力が抜けて良いスイングになり得ると言うことである。
 手首を固定しなくてはダメだという重力から逃れるのは困難である。
 その場に止まる限りはそこが正常な世界なのだ。
 
 立っているラケットを寝かしてみる。
 がっしり固定された手首を解放してあげる。
 そうすることにより、バックハンドでも腕全体の可動範囲が大きいことに気がつく、かもしれない。
 最初はゆっくりスイングしてみる。
 ボールの曲面に沿ってラケットを回す。
 前に飛ばしたければ打ちたい方向にフォロースイング。
 下回転を持ち上げたければそっとしたから上に撫でるように打つ。
 弾きたければ球の反発を意識してちょいと手首で弾く。
 どれも手首を固定していては難しい動きである。
 手首を使うというか、連動して動くというか。
 

 
 信じるか信じないかはあたな次第


 
 
 
 
  

 予定していたレッスンが事情によってできなくなり、藁にもすがる思いでつじまる師匠に連絡を取ってみたところ、相手をしていただけると嬉しいご返事。
 前日届いたばかりのインナーフォースレイヤーALC.S(長い)と、火山岩、ピュアカーボンと3本のみを持っていく。
 火山岩7にはキョウヒョウ2、ピュアカーボンにはキョウヒョウプロターボオレンジ(長い) が貼ってあるが、気持ちは新入りのインナーフォースレイヤーALC.S(長い!)に集中していて、言うなればオマケみたいなものだ。
 
 相変わらず埼京線が遅れて9:40分過ぎにようやく体育館へ到着。家を出てから実に2時間経っている。
 前日の大雨が嘘のように晴れ渡り、済んだ青空の下卓球が出来る幸せを噛みしめる。
 卓球教室未開催の幸運にも恵まれ、すぐさま練習開始。
 12月に入ってから3週間連続でつじまる師匠と練習となった。
 
 最初に使ったインナーフォースレイヤーALC.S(長い!!)が想像以上に気持ちよく、いきなりテンションが上がる。
 フォアのテナジー25FXもバックのロゼナも良い感じ。
 もう貴方だけいればそれでいい、そんな気分。
 そのような幸せ気分もツッツキ練習をしたらあっという間に冷めた。
 回転の影響をもろに受けるのか、ネットばかりで冷や汗をかく。
 いや、腕の問題だろう。
 貴重な時間のスーパー銭湯、もとい数%を割いてツッツキの練習をして、より弾まない根本付近でツッツキをする荒技で辻褄を合わせた。

 つじまる師匠にも色々お借りして、特にヤサカのマリンエキストラオフェンシブ?にテンキョク2が実に楽しいラケットで、いつまでも打ち続けていたい欲求に駆られた。
 私は買ったばかりのインナーフォースレイヤーALC.Sを持っていったのだが、偶然つじまる師匠も同じラケットの中ペンを買ったばかりで、フォア面に気になるラバーのヴェガXを貼っていた。
 早速借りて打ってみたのだが、どうもしっくりこない。
 こういう感覚を伝えるのは難しいのだが、もう少し硬いラケットの方が合いそうである。

 1時間30分ほど用具を試し、残りは真面目に練習。
 サーブからの展開などなど。
 今練習しているのは巻き込みサーブの構えから順横でバックのサイドを切るサーブ。
 ペンのナルコさん対策だが、同じペンのつじまるさんにあっさり返球されたのはガッカリ。
 こんなんじゃ高知県チャンピオンには通じない。

 
 3時間みっちり打ち合って、冬だというのに汗をかき、腹も減り、いつものあれといこうじゃないか。
 告白するなら1時間30分くらいたった時点で空腹を覚えて、時計ばかり見ていた。
 
 着替えをして外に出ると、青空が広がる良い天気。
 歩きながらも色々会話が弾む。
 
 何だか混み合っていたが、30回目くらいの和風ファミリーレストランで乾杯をした。
 今回はすきやき定食だが、これも結構食べたなあ。
 それと串カツ。
 こうして書いていながらよだれが出てきたよ。
 酒を飲みながらインナーフォースレイヤーALC.Sには何のラバーが合うのかしらとか、2人の馴れ初めとか、卓log会の今後の行く末とか、話題が尽きない。
  いつものようにバスの停留所でお別れして、帰路についた。
 来年も練習できると良いなあ。 

 先週くらいから湖南料理湖南料理と耳元で呟かれても、あたしそもそも湖南料理って知らないんですけど。
 「本場の湖南料理を食べようよ」
 なんて、いくら言われても、知らないものは知らない。
 そんな言葉に騙されて、ホイホイついていく女の子もいるのかなあ。
 あたしは違うよ、とは言えない。情けないけど。
 だって美味しい料理とお酒を飲んだら、あたしはきっと楽しい気分になると思うし、そうなったら、ね。

 

 「辛いです」
 「これは辛い」
 「辛いのは好きだけど苦手だ」

 立野さんご推薦の「本格湖南料理 李厨」での会話は8割方こんな感じ。
 確かに美味しい。
 美味しいけど辛い。
 辛くて辛くて涙が止まらない。
 泣きながらビールを口の中に注ぎ、一瞬だけ痛みが和らぐが、またすぐぶり返す。
 卓球の話とか、色々したいがこれは無理。
 
 このお店は高田馬場さかえ通りにある一見普通の中華料理屋だが、店員も客もほぼ中国人で、日本語がほぼ聞かれない。
 1人では決して入らないであろう、そんな店だ。
 ああ、言っておくけど、料理は美味しい。
 辛いのが好きならオススメである。

 ビールでは無く水を飲んだら辛さも和らぎ、ようやく普通の会話が出来るようになったので、またまた卓球TALKに花を咲かせた。
 いくら話しても尽きることは無い。
 残念なのは、ほとんど覚えていないことだが。
 
 散々卓球話をしているうちに、またぞろ卓球をしたくなってきた。
 この卓球をしたいという欲望は、はたしてどこから来ているのだろうか。
 永遠のテーマであるなあ。
 
 立野さんと別れを告げて、電車に乗り込むのであった。

 終わり
 

 
  

 風が鳴っていた。
 道にせり出した大きなケヤキの木が揺れる度に、黄色に熟した葉がひらひらと舞う。
 冬を目の前にした秋の終わりは、色鮮やかなのにモノトーンでもある。
 こういう季節も嫌いじゃ無いと、良介は思った。
 本来なら今頃飲み始めているはずである。
 はずであったが、時間が早すぎて繁華街に灯が入っていない。
 その鬱憤を晴らすように人混みを早足で歩く。
 何でこうなった。
 その思いが良介にはある。
 何だよ、畜生。
 思わず声に出してしまって、慌てて口をふさいで辺りを見回す。
 卓球なら誰にも負けない。
 そう自負していた。
 自分は見た目も悪い。
 気の利いた言葉も言えない。 
 頭も悪いし、金も無い。
 連れはいても友達とは言えない。
 横にいる立野だって、内心何を考えているのか分からない。
 ただ世間から受け入れられない、そのか細い連帯感で繋がっているだけだ。
 卓球だけは自信があった。
 もちろん全国1位であるとか、そんなレベルの話では無い。
 無いが、少なくともそのこら辺りの経験者気取りには負けない。
 そのプライドとも言えないプライドが、あっさりと砕かれたのだ。
 なにより砕いた相手にとっては、記憶にも残らない一戦である事が明白で、それがまた悔しかった。
 何だよ、何だよ。
 また声に出してしまった。
 酒でも飲まずにはいられなかった。
 その酒が飲めないのなら、また練習するか。
 




 「まだどこも空いてないですねえ」
 「そりゃそうですよ、まだ4時ですもん」
 日が沈むのが早いので忘れがちだが、まだ午後4時なのだ。
 みっちり練習をして、早く酒を飲みたかったのだが開いてないなら仕方が無い。
 そういえば先週行きそびれた山手卓球を見てみたい。

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 聖地聖地と言いながら、山手卓球を知らないなんて、モグリですね。

 ん
 幻聴?

 いつも歩いているさかえ通りを1本奥に入った場所に山手卓球がある。



 道一つ違えば、今でも人攫いや拐かしがいるから、注意するように


 暗転


 ・・・

 中に入ると予想通りの渋い卓球場で、2組ほど先客がいた。
 見るとスリッパで卓球をしていて、なるほどこういう場所なのねと納得。
 こうして本日3回目の練習開始。
 
 山手卓球は、台と台の間が狭いことと、卓球台がツルツルで滑ることと、石油ファンヒーターが効き過ぎて暑いこと以外は最高の環境である。
 まるで自分が傑作卓球マンガの「ピンポン」の登場人物になったような気分になれる。

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 最初はキョウヒョウ301にマークVXS。
 やっぱりネットばかりで早々にピュアカーボンにチェンジ。
 この回はお互いのサーブからの展開を重点的に練習した。
 私はバック側のサイドを切る順横サーブ。
 なぜだか調子が良くて、面白いように決まる。
 楽しい。
 上手く行くから楽しい。勝つから楽しい。
 
 立野さんにはフォア側に下回転サーブを出してもらって台上の練習。
 成功した記憶ばかりだが、冷静に考えて見ると9割方ミスしている。
 むりやり起こさないで、素直にツッツキにするべきであろう。

 何だかんだであっという間に1時間がたった。
 ファンヒーターのおかげで汗もたっぷりかいて、準備万端いつでも飲める。
 
 



 
 

  

 駅前の緩い坂を新宿方面に向かってしばらく歩くと、急に目の前が開けて戸山公園にぶつかる。
 一口に戸山公園と言っても明治通りによって大きく2つに別れていて、山手線内で一番標高のある箱根山を中心とした箱根山地区と、そこよりは一回り小さい大久保地区がある。
 私たちの目的地である新宿スポーツセンターはその大久保地区の入り口付近に建っていて、地域住人にスポーツの場を提供する貴重な施設になっていた。
 当時、つまり貴絽良介が40代を過ごした2010年代後半は、長い不況のトンネルを抜けること無く、新元号と東京オリンピックを迎えることになり、興奮と冷めた雰囲気の渾然とした、一種異様な時代と言えた。
 さて今回テーマとしている卓球についてだ。
 2016年リオデジャネイロオリンピックにおいて、男子団体銀、女子団体銅、男子シングルス水谷隼銅メダルと好成績をあげた事が注目を集める結果となったのは間違いない。また、伊藤美誠、平野美宇、張本智和を筆頭とする若手の台頭も相まって、日本人好みの様々なドラマが生まれ、東京オリンピック1年前から盛り上がりを見せていた。(敬称略)
 その影響は一般プレーヤー層の増大という目に見える形になって現れる。
 かつては趣味としての卓球を楽しもうとしても、肝心の場所もやる相手も不足していて、マイナー競技のプレーヤーとしての悲哀を味わっていた彼らが、いざ卓球がメジャースポーツに半ば昇格と言った形になった途端、貴重な練習場が満員で利用できないという現実に直面することになった、





 なったんだよなあ、と頭の片隅で考えながら立野さんと再びスポセンのドアをくぐった。
 午後の部開始から30分たってしまっていたので、もしかしたら台が埋まっているかも。
 いつもの貧乏性が私の足を早足にさせる。
 3階まで階段を上り、小体育室のドアを開けて中を覗く。
 ガラガラだ。いつものスポセンだ。
 安心したところで早速練習開始。
 立野さんとは夏に練習して以来だ。

 立野さんはほぼ同時に卓球を始めた貴重な大人卓球初心者仲間で、しかも同い年というさらに貴重な練習相手でもある。
 いつも私より2周くらい先を行っているので、色々アドバイスをくれる。
 しかも今回私の気になっているラケット、インナーフォースレイヤーALCを持ってくると言っていたので楽しみにしていた。 
 私の方も、立野さんのリクエストに応えて今時珍しいガチガチのカーボンラケット、カブリオレを持ち込んでいた。
 立野さんの球は健康卓球教室の方々より遥かに速いので、なれるまで時間がかかる。
 最初のフォア打ちから色々駄目出しをされてしまったが、後から考えてみたらマークVXSが弾まなすぎたのも良くなかった。いつもの遅い球ならマークVXSやキョウヒョウも有りだが、そこそこ速い球になると難しくなる。
 対立野さんに一番良かったのは、アウターカーボンのカブリオレや分類不能特殊素材ピュアカーボン。
 回転とスピードが乗っている球も、カーボンラケットなら全く押される事無く返球できる。
 そのかわり下回転を持ち上げるのはちょっと苦労するので、ロングサーブ主体の展開が良いに違いない。
 お借りしたインナーフォースレイヤーALCは板厚が6mmとのことで、グリップが太いのが気になった。
 それよりも立野さんが以前から愛用しているカルテットAFCの方が遥かに打ちやすい。
 私の所持するカルテットLFCとは兄弟ラケットのはずだが、随分と打球感が異なっていて、AFCは柔らかい中にも力強さも兼ね備えている、扱いやすくて威力もだせる、バランスの取れた良いラケットだと思う。 返す返すもデザイン変更が残念でならない。
 フォアドライブの打ち方も教わって、回転がかからないのを改善する為のラケット角度とか、バックドライブを中陣から打つコツとか、有り難いアドバイスをもらった。
 二人してラケットをとっかえひっかえして2時間30分ほど練習をした。
 立野さんはアウターカーボンを気に入ったようで、もしかしたら今頃ポチッとしているころかもしれない。ティモボルALCとかね。 
 私も用具に関して色々学ぶことが有り、とりあえずマークVXSは諦めた。
 省狂3も。追加注文中なのに。
 16時の閉館ギリギリまで練習して、スポセンをあとにした。
  

 駅前の大きな交差点で、つじまるくんと2人して立っていると、あまりの人混みに目眩がしたような、そんな気がして良介は、そっと傍らに立つつじまるくんの分厚いジャケットの袖を掴みました。
 戦争が終わった直後は闇市で賑わった高田馬場駅前も、警察が厳しく取り締まったので、いまではすっかりきれいな町並みになったのだと、職業軍人だったお父さんがいつだか話してくれた事があります。
 道一つ違えば、今でも人攫いや拐かしがいるから、注意するようにとも。
 そういえば道行く人の中に、未だにボロボロのゲートルを巻いた軍服姿の男や、上下ちぐはぐな服を着たルンペンや、素早く走り回る浮浪児らしき姿が目に入ってきます。

 「良介君、大丈夫かい?」
 心配そうな表情でつじまるくんが顔をのぞき込んだので、慌てて良介は掴んでいた袖から手を離し、何とか笑顔で返事をしました。
 「大丈夫さ。それより立野君の姿は見つかったかい?」
 「うーん、そろそろ来る頃なんだけどねえ。あ、あそこにいるのがきっとそうだよ」

 つじまる君の指さす方を見ると、確かに探していた立野君です。
 高そうな茶色のセーターとグレーの長ズボンはいつもの格好なので、すぐに分かりました。
 「やあ、君たち、もう来ていたんだね」
 早足で近づいてきたので、立野君の息があがって、白い息が信号機のすぐ下まで昇っていきます。
 「さあ、いこう。もうお腹ペコペコだよ」
 食いしん坊の立野君らしい言葉に、僕たち2人は顔を見合わせて笑ってしまいました。
 そうすると立野君もつられたように笑って、僕たち3人の笑い声が、 青い空に吸い込まれていきました。

 
 「貴絽さん、大丈夫ですか?」
 心配そうに顔をのぞき込まれた。私は一瞬どこにいるのか分からなくなってしまった。
 「大丈夫だよ、つじまるくん・・・いや、すみません、つじまる師匠。」
 「本当に大丈夫っすか?立野さん、来ましたよ」
 「大丈夫、大丈夫。さあ、お待ちかねの餃子ですね」
 慌てて取り繕った私は先頭に立ってドンキホーテの階段を降りる。
 そこはお気に入りの餃子屋、安亭。
 前日の会社の送別会でアルコールを飲み過ぎたので、ノンアルビールで乾杯。
 いつも通りの熱々餃子を頬張りながら、3人で卓球TALK。
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 ビールの味がするせいか、ノンアルコールにも関わらず、多少酔ったような気分になれる。
 1時間くらいはあっという間に過ぎて、つじまる師匠はお帰りの時間。
 名残を惜しみつつ、つじまる師匠は駅へ、私と立野さんは新宿スポーツセンターへと、交差点を後にしたのであった。

 
 
 
  

 俺の名前は貴絽良介。
 都内の三流私大に通う、平凡な大学生だ。
 同学年の奴らは学期末のテストに向けてスパートをかけている頃か。
 テストなんて、ばからしいぜ君たち。
 教育の現場では1点1万円で取引されている現実を知らないのか、知らない振りをしているのか。
 俺はと言えばジャージにリュックと身軽な格好で新宿某所を歩いているところだ。
 ジャージといったって海外ブランドの特注品だ。その辺の若造には着こなせないハイセンスな服だが、俺が着ればビシッと決まる。フルオーダーメイドだから当たり前だ。 
 
 
 新宿駅の一般人には公開されていないプライベート駐車場に愛車の(外見は)ノートハイブリッドを停めて、そこから数分歩いただけでのどかな公園にぶつかる。
 この敷地内にあるスポーツセンターが今回の目的地だ。
 公営のスポーツセンターなどえらく庶民的だが、俺はこういう所も嫌いでは無い。
 トランジスターグラマーな受付嬢に愛想笑いをしながら3階まで上ると、だだっ広い通路にまでカンカンと小気味よい音が漏れ聞こえてくる。
 いつもながらこの音を聞くとアドレナリンが過剰に分泌されて、体が戦闘態勢になる。
  
 鉄製のやけに重い扉を開けて体育館へ入るなり、お目当ての人物の後ろ姿が目に飛び込んできた。
 気配を消して近寄る俺に気がついているのかいないのか、辻円弥 通称つじまるは筋肉質な体を薄いTシャツに包んだ身軽な格好で、俯いて座り込んでいる。
 「久し振りだな、つじまるよ」
 「物騒な気配を感じたが、やはりお前か貴絽良介」
 後ろを向いたままだが、ニヤッと笑った顔が想像できた。

 俺とつじまるのつきあいは長い。
 中学校に進学早々アラブ圏の某組織に放り込まれた俺が、言葉も通じず金も無く、スパイ容疑で殺されそうになり、親父仕込みのサバイバル術を駆使して脱出を企てていたときに遡る。
 鉄条網の植え込まれたやけに高い壁を乗り越え、あと一息で成功というところで結局捕まり、死にものぐるいの格闘をした相手がこのつじまるだったのだ。
 殺し合いの中でお互い日本人である事が分かり、意気投合して2人で逃げ出したのだが、後10秒遅かったらどちらかの首が折れるか目玉を潰されていたと思う。
 

 というような夢を見ていたら電車が止まり、高田馬場駅に到着した。
 澄み切った青空がビルの隙間から覗き、冬らしくない陽気も相まって、実に気持ちが良い。
 平和ですなあ。

 新宿スポーツセンターにつくとすでにつじまる師匠が到着していて、早速練習開始となった。
 先週はNetIn&EdgeBallClub練習会、今回は月曜昼間餃子会だ。
 午後からの練習もあるので、合計6本ものラケットを持ち込んだ。

 キョウヒョウ301 マークVXS ヘキサーパワーグリップSFX
 スワット 省狂3 GTT45
 エバンホルツ 剛力快速 アポロ5超極薄
 ピュアカーボン ヴェガプロ マントラS
 フォーティノフォース ロゼナ ラザンターV42
 カブリオレ ヴェガツアー マントラS

 卓球教室では良いと思ったマークVXSだが、つじまる師匠相手だと全然良いとは思えない。
 相手の球が遅ければ、しっかりスイングできるので弾みが弱いのも気にならないのだが、速い球相手だとネットを越すのが難しくなる。また一つ勉強になった。
 省狂3も同様。
 剛力快速とアポロ5超極薄の組み合わせはなかなか良くて、特にアポロ5超極薄は今まで使ったどの極薄ラバーよりも良い。ブロックもしやすく、打てば結構普通に打てる。
 他の3本はどれも良い感じで、打っていて楽しい。
 1時間30分ほど全力で打ち合い、午前の部は終了した。
 

 
 

 

 幾つになっても程よい加減を知らず、本能の赴くままに行動しているので、またもや過剰な一日となった。
 過剰な一日とは、午前中に経験したことが、夜になって振り返ると遠い昔のことだったような、そんな一日のことだ。 

 まずはつじまる師匠との練習からスタート。
 珍しく台が空いていて、すぐに練習を始めることが出来た。
 いつものようにあれこれ用具を試しながらの練習だが、今回は試打だけでは無く普通の?練習時間を増やした。
 月曜昼間餃子会でナルコさんに負け続けた傷心の私たちは、対ナルコさんを想定した練習に意欲的に取り組んだ。恐らく次の餃子会ではナルコさんを破って、高知県チャンピオンの座を奪い取るはずである。
 そんなこんなで3時間みっちり汗をかき、空腹で目眩がするくらい打ち合った。
 
 練習後は当然のようにファミリーレストランで前祝い。
 夜の忘年会を考えて、ビールは飲まず、飯も控えめにするのだと決めていたが、席に座った途端全て忘れ去り、通常より大容量のスペシャルビールとひれカツ丼とポテトフライで腹一杯になるまで堪能してしまった。

 つじまる師匠と名残を惜しんで別れた後は、電車で移動し駅そばの温泉へと向かう。
 2000円近い料金を払って、サウナやら炭素風呂やらで体が温まった後は休憩所でまんがを読みながら昼寝。3時間ほどくつろいでまた移動。

 高田馬場駅で立野Bさんと待ち合わせて、忘年会前に軽く練習する事になっていたのだ。
 ところがお目当ての山手卓球が休みだったので、仕方なくコクタクで時間を潰すことに。
 どうしても諦めきれない我々は、無理を承知で台が空いていないか聞いてみたところ、調整してスペースを空けて貰えることになった。素晴らしい対応に感謝。
 立野Bさんとは私服のまま30分くらい打ち合って、それでも結構汗をかいた。
 ここで汗をかいて腹を空かせないと、忘年会で飲み食いできないので必死になって動いたが、あまり効果が無かった。やはり温泉でゴロゴロしていたのがマズかったのかもしれない。

 そしてここからが本日のメイン。
 私が幹事をした卓log会の忘年会だ。
 場所は高田馬場の金鍋という中華料理屋。
 


 初めての利用なので場所が分からず難儀してしまった。
 参加者は私、立野Bさん、リンさん、ナルコさん、しろやさん、タメさん、はじめさん、の7人。
 以前講習会でお世話になったはじめさんが、快く参加してくれたのが嬉しかった。
 
 円形のテーブルに回転台。
 食べ放題なのでどんどん注文し、ビールもピッチャーで飲み放題。
 他に客がいないので静かな店内に、延々と卓球談義が響き渡る。
 みな卓球好きには変わりが無いが、それぞれ興味がある分野が異なり、ある時には饒舌になり、ある時には聞き役に徹する。
 19:00スタートの22:00終了までの3時間、会話が途切れること無く続き、少し早めの忘年会が終了したのであった。
 ほろ酔い加減で店の外に出るとまさかの雨。
 濡れて帰るのも粋だろうと雨に打たれるままに駅へと向かう。

 そして冒頭のごとく、そういえば午前中につじまる師匠と練習したっけなあ、とか思い出を反芻しながら帰路につくのであった。

 今回は3部構成

ユーウェルク卓球場について

 私もあちこちの卓球教室に通っているのだが、やはりユーウェルク卓球場は他とは違うなと感じる。
 コーチ=教える人 
 という、ある意味当たり前の所を徹底している。
 数多の卓球教室で見られるように、ただ技術レベルの高い人は、コーチとして現場に出ることも許されない。
 社会人としての基本的所作、接客業としてのスキルは最低限必要なので、コーチ候補として入社してもそのままコーチになれるとは限らない。
 客のあらゆる質問に対して具体的かつ実践的な道筋を示し、満足してもらう。
 高圧的だったり押しつけがましいところは無く、あくまで客の求める内容+ちょっとお得なプラスアルファを提示して、レッスンが終わる頃には上達したような気分を味わえる。
 そして何より練習前、練習中、練習後まで含めて嫌な思いをすることが無い行き届いた接客!
 練習が終わって支払いを済ませた客を、出口まで送ってドアを開けて一礼する個人レッスン、他には無さそうである。
 金を払って嫌な思いをする教室なんて、行きたくないでしょ。
 この基準はユーウェルク卓球場としての基準なようなので、今後は他のコーチのレッスンも受けてみたいものだ、と書こうとしたが、大熊コーチは私の主治医みたいなものなので、他の人では代えがたいんだよなあ。
 

本日教わったこと

 ①ツッツキの時の右足の位置

 Q:ツッツキをするとき、条件反射的に右足を前に出すと、チャンスボールになり得る長いツッツキが来ても、間に合わずにツッツキで返してしまう。
 
 A:短い場合のみ右足を前に出し、長い場合は平行足を維持してツッツキをする。
 そうすることによって、チャンスボールが来たときにはフォア打ちをする余裕が出来る

 ②フォア打ちの打点=タイミング

 Q:少し浮いたチャンスボールがきても、決めることが出来ない。

 A:頂点付近を打とうとするあまり、打点が遅れてつまっている。
 バウンド直後の一番普通の打点で打てば余計な力もいらず打てる。
 その際強く当てるのでは無く、被せて転がす様に打てば十分回転がかかる。
 私の感覚では、ラケットの下部に当てるイメージ。

 ③フォア打ちのラケットの高さ

 Q:対下回転ドライブの時どうしても下から振ってしまう

 A:膝を曲げて腰を落とせば腕をおろさなくなる


おまけに用具のことも質問した。

 結構真面目に。
 今回の練習はアルバに両面ロゼナだったのだが、試合形式になると粘着ラバーの方が勝ちやすい気がするので見てもらった。
 スワットに両面キョウヒョウ3だったのだが、バックは食い込ませて回転をかける感覚があるのだからテンションの方が良いのでは、とのこと。
 フォアは粘着でも良いかもと言われた。
 試しにもう1本持っていった(笑)テナジー05も受けてもらったが、あくまで試合に勝ちたいなら、という括弧書きで、キョウヒョウ3の方が良いかも、と。
 テナジー05の方がスピードはあるが返球しやすいそうで、やっぱりそうなんだなあと、納得した。
 ちなみにアルバにロゼナは、フォアは良いけどバックはキツかった。
 パシッと打ちたいのにグニュッと掴んでしまって、感覚とのギャップが大きくて気持ち悪い。
 ロゼナを使うのならそのままVirtuoso offensive-を使っておけば良かったとちょい反省。
 マントラSに慣れてしまっているのかも。


 

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